トルコ小売業協会 会長 メフメット・ナネ(Mehmet T.Nane)
トルコは30カ国5億人市場への「ハブ」、海外企業の参入を歓迎する!

2012/12/17 13:00
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トルコ小売市場の成長が目覚ましい。過去5年間の平均成長率は約9%。この高成長を支えているのが、人口約7500万人の半分が29歳以下という、若い力だ。一人当たりの所得も2006年の7000米ドルから5年間で1万1000米ドルに増加。国内消費も力強く伸びている。こうした中で海外企業は今、投資先としてトルコに注目している。日本企業に参入の余地はあるのか。トルコ小売業協会会長のメフメット・ナネ氏に聞いた。

取材協力=日本小売業協会 聞き手=下田健司(チェーンストアエイジ) 翻訳・構成=中村麻里


近代化された小売業のシェアは、まだ半分

──まず、トルコの小売市場におけるトルコ小売業協会の役割を教えてください。

 

トルコ小売業協会 会長
メフメット・ナネ(Mehmet T.Nane)

ナネ 当協会はトルコ国内の小売企業のまとめ役です。主には小売業界内の協業を促しています。

 

 トルコの小売業界は主にショッピングモールと、その中に出店する小売企業の2つの業態から成ります。それぞれが消費者にサービスを提供しており、両者が協調するかたちでひとつの“生態系(エコシステム)”を形成しているのです。

 

 通常、ショッピングモールと小売企業とは、たとえば賃料の問題等で利害が相反することが多くあります。ですから、当協会は設立当初の1996年から、両者の対立が破綻ではなく、建設的な方向に向かっていくよう仲裁しています。

 

 われわれがめざしているのは、米国のNRF(全米小売業協会)のような組織です。ただし、NRFの構成員は小売企業が多くを占めますが、当協会の構成員は、ショッピングモールと小売企業で半々くらいです。

 

──これまでのトルコの経済成長をとくに支えている分野は何ですか?

 

ナネ 主に3つあると思います。1つは輸出の伸びです。02年の輸出総額は約300億米ドルでしたが、現在は1400億米ドルに拡大しています。2つめは国内市場が力強く成長していることです。トルコのGDP(国内総生産)の約70%は、国内消費が占めていますから、国内市場の拡大は大きな成長要因です。3つめは観光業の好調です。12年の観光客数は2600万人で、総収入は約130億米ドルに上ると予測されています。

 

──トルコの小売市場は今、どのような状況でしょうか?

 

ナネ トルコの小売市場規模は、約1900億米ドル。そのうち約800億米ドルが近代化された小売企業の売上で、残りの約1100億米ドルは伝統的な個人商店の売上です。トルコ国内の近代化された小売店は、12年9月現在でショッピングモールが332カ所、小売店が5万店舗あり、そこで働く従業員数は67万人を数えます。

 

 近代化された小売業としては、海外勢ではカルフール(フランス)、メトロ(ドイツ)、テスコ(イギリス)などが進出しています。トルコ全土に展開しているチェーンストアではビム(BIM)が最大手で年商は45億米ドル。そのほかにもミグロス(Migros)、キラ(Kiler)、エスオーケー(Sok)、マクロ(Makro)、A-101といった企業があります。

 

 こうした大手チェーンのほかに、ローカルの個人商店がたくさんあるのです。

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