活況のフードデリバリー市場に北欧から現れた刺客・Wolt(ウォルト)の深謀
「Wolt限定メニュー」も豊富に展開
もちろん、利用できるレストランのラインアップ充実も顧客満足向上の一環として注力する。Woltは競合他社に増して「ローカル」を強く意識しており、地元で人気の飲食店との連携を重視している。すでにサービスを展開している地域では、これまでフードデリバリーサービスに対応してこなかった飲食店も多く参加しているという。
また、飲食店の協力のもと、Wolt限定のメニューも多く揃える。直近ではクリスマスシーズン限定の特別メニュー「Wolt BLUE SANTA SPECIAL」を12月18~25日に東京、札幌、仙台、広島の4都市で提供。東京都内では21店舗、そのほかの都市を含めて計40店舗とコラボレーションし、Wolt限定のクリスマスメニューを販売する。
このように飲食店とのコラボが充実しているのは、前述のとおり各地にサポート拠点を置き、飲食店と近い距離でコミュニケーションができているためだ。
100億円を投じ100都市での展開をねらう
「おもてなし」という日本ならではのきめ細かなサービスを武器に市場深耕を図るWolt。今後数年間で100億円を投じ、全国100都市でサービスを展開するという壮大な目標を同社は掲げる。
しかしその達成のためには、東京や大阪といった大都市や、すでに展開している仙台や札幌、盛岡といった政令指定都市あるいは県庁所在地よりもさらに規模の小さい地方都市での展開が必要になってくる。人口が少なくなればそれだけ収益化が難しくなるとみられるが、Woltには勝算があるようだ。「本国のフィンランドやそのほかの国々では人口2万人程度の町でも単体で黒字化できている。これはWoltが持つ独自のアルゴリズムにより、配達の効率化が図られているためだ」(新宅氏)。また、冬季は雪の降る地域でも「気候条件の厳しい冬が長いフィンランドでさまざまなノウハウを蓄積している」(同)として、スムーズな運用が可能なようだ。これについてはすでにサービスを開始している旭川、札幌、盛岡、仙台などでの冬季の稼働状況が注目される。
100億円という巨額を投じ、Uber Eatsなど有力プレーヤーとの差別化を図りながら日本市場に爪痕を残すことはできるか。北欧からの”青い刺客”の今後から目が離せない。