イケア、アディダス、ウォルマート…CSO(最高サステナビリティ責任者)の設置が重要な理由

2020/06/10 05:55
伴大二郎(株式会社オプト オムニチャネルイノベーションセンター センター長)

これまで、サステナブル(持続可能)な思考がユーザーに広がったことにともなうコミュニケーションの在り方の変化や、重要性をお伝えしてきました。環境・社会・ガバナンス(企業統治)を重視するESG投資への気運も高まっており、サステナビリティを経営や事業戦略といかに連動させていくのかを考えることは、企業にとって生き残る活路になるでしょう。この流れを汲み、近年、「CSO(Chief Sustainability Officer:最高サステナビリティ責任者)」という役職を新設する企業も増えています。最終回の今回は、CSOを設置する企業の取り組みをとおし、リテールが進むべき方向を考えます。

CSOのいる企業のサステナブルな取り組みとは?

パタゴニアが展開する「Recrafted」の専用サイト
パタゴニアが展開する「ReCrafted」の専用サイト

 まずは、ご存じホームファニシング大手のイケア(IKEA)から。同社は早くからCSOを置く企業の一つです。イケアは2030年までにすべての商品をリユース、修理、アップグレード、そしてリサイクルされるように設計すると宣言しています。実際、サブスクリプション型のレンタルサービスを昨年2月にスイスでスタート。ベルギーの店舗でも中古製品の販売事業や再塗装や再組み立てを行う修理事業が営まれており、大量生産・大量販売から循環型のビジネスモデルへとダイナミックな変革が行われています。

 続いて、スポーツ用品メーカーのアディダス(Adidas)です。同社は19年に「FUTURECRAFT.LOOP」というプロジェクトを発表しています。そのコンセプトは、「100%リサイクル可能なランニングシューズ」。購入者が履き終えてストアに返却したシューズを新しいシューズへと100%リサイクルするというものです。回収・再利用が前提のため、プロダクトは単一素材でつくられ、接着剤すら使われていません。現在、試験を終えた第一世代のシューズが二世代目として生まれ変わり、21年春夏の発売に向け、さらなる検証が図られている段階です。

 3社目は、サステナブル経営における先進企業の1つとして知られるアウトドアメーカーのパタゴニア(Patagonia)です。同社は、顧客から回収した年間10万点もの衣類を70カ所ある拠点で修復し、専用のオンラインストア「wornwear.com」で販売。商品の回収に協力した顧客にはギフトカードを渡し、製品を再び購入するという流れも構築しています。

 パタゴニアはこのほか、修復できない衣類を組み合わせて製造したプロダクトを販売する「リクラフテッド(ReCrafted)」という取り組みも海外で展開。これは、同社が「最上級の『アップサイクル』(単なる再利用ではなく元の素材・製品よりも品質・価値の高いものをつくる方法論)」と誇る取り組みです。

 以上の企業に共通するのは、サステナブルな道を選んだうえで製造方法を見直し、さらには循環される二次流通までを見据え、ブランディング活動を行っているところです。企業がサステナブルなビジョンを達成していくには、これまで築いてきたサプライチェーンの仕組みやビジネスモデルを大胆に変えることは、必須と言えるでしょう。

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