GMSからSM企業へと転換したイズミヤの戦略を最新店づくりとともに解説!

森本 守人 (サテライトスコープ代表)
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エイチ・ツー・オー リテイリング(大阪府/荒木直也社長:以下、H2O)傘下のイズミヤ(大阪府/梅本友之社長)は2020年、事業再編により、総合スーパー(GMS)企業から食品スーパー(SM)企業に生まれ変わった。商勢圏とする関西エリアで競争が激化する中、食品を中心とした新たな店づくりを模索し、集客力向上をめざしている。

2020年4月から新体制がスタート

イズミヤ 中内佳宏取締役執行役員
中内佳宏 取締役執行役員

 GMSを主力とする事業展開により、イズミヤは長らく消費者の支持を獲得してきた。だが近年は、衣料品、および住居関連品の低迷、商勢圏の競争激化などの理由から、不振が続いていた。2014年にH2O傘下となって以降は、SMを主力とする新規出店と、既存店の近隣型ショッピングセンター(NSC)への建て替えなどによる事業立て直しに取り組んできたものの、抜本的な打開策を見出せないでいた。

 そうした状況下の20年4月、H2Oが当時掲げていた中期経営計画のもと、踏み切ったのが事業再編である。

 具体的には、イズミヤを食品に特化したSM運営会社、日用品販売会社、商業施設運営会社の3社に分割。このうち、日用品販売については、ドラッグストア(DgS)企業のココカラファイン(神奈川県/塚本厚志社長)とH2Oによる合弁会社、CFIZ(大阪府/中山和亮社長)を設立した。さらに、イズミヤから商業施設運営事業と、衣料品・住居関連品販売事業を継承した新会社、エイチ・ツー・オー商業開発(大阪府/黒松弘育社長)が発足している。

 そしてイズミヤは、SM運営会社として再スタートを切る。以来、3社体制のもと既存店の改装が順次進んでいる。

 イズミヤが事業展開する関西小売マーケットに目を向けてみると、SMだけでなく、近年は食品の扱いを強化するDgSやディスカウントストアなど、異業態が続々と出店を強化中で、競争は激化の一途をたどっている。

 20年9月には、首都圏で急成長中のディスカウントスーパー、ロピア(神奈川県/高木勇輔代表)が関西1号店となる「ロピア寝屋川島忠ホームズ店」(大阪府寝屋川市)をオープン。20年2月時点ですでに関西3店舗体制となっており、「早期に10~20店まで増えるだろう」という観測もある。

 いずれにせよ、イズミヤが主戦場とする関西小売マーケットの競争は、今後いっそう熾烈になっていくのは間違いない。

好立地にあるGMS店舗を大改装

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記事執筆者

森本 守人 / サテライトスコープ代表

 京都市出身。大手食品メーカーの営業マンとして社会人デビューを果たした後、パン職人、ミュージシャン、会社役員などを経てフリーの文筆家となる。「競争力を生む戦略、組織」をテーマに、流通、製造など、おもにビジネス分野を取材。文筆業以外では政府公認カメラマンとしてゴルバチョフ氏を撮影する。サテライトスコープ代表。「当コーナーは、京都の魅力を体験型レポートで発信します」。

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