コロナ下で売上伸長するSM業界 アークス横山清社長が語る「M&Aをし続ける」理由
北海道・北東北で食品スーパー(SM)9社を擁するアークス(北海道)。地域密着型のSMを追求しながら、2018年12月にはバローホールディングス(岐阜県/田代正美会長兼社長)やリテールパートナーズ(山口県/田中康男社長)と資本業務提携を結び、「新日本スーパーマーケット同盟」(以下、新日本SM同盟)を結成した。今後の流通・小売業界の再編について、横山社長に聞いた。※本インタビューは3月中旬に行われました
社会インフラとしてのSMの役割を再認識すべき
──20年3月時点での直近の売上動向はいかがですか。
横山 19年10月以降、消費増税の影響で個人消費が低迷し、SM業界でもスーパーマーケット3団体が発表している20年1月の全国スーパーマーケット既存店売上高が対前年同月比1.3%減となるなど、厳しい状況が続いていました。しかし、20年2月後半以降、新型コロナウイルスの感染拡大に伴って生活必需品を買い求める消費者が増えています。アークス傘下の店舗では概ね、対前年同期比を上回るペースで売上が伸びています。
──アークスの主な事業エリアである北海道では、2月28日から3月19日まで新型コロナウイルスの感染拡大防止のための「緊急事態宣言」が発出されました。
横山 消費者の間では不安感から食料品や日用品を備蓄しようとする傾向が強くなり、日用品や即席麺などが一時的に欠品するケースも見受けられました。アークスでは常時、物流センターで商品の在庫を適正に確保して各店舗に迅速に供給する体制を整備しており、翌朝の開店までには、各店舗の陳列棚へ商品を確実に補充しています。
今回のコロナウイルスの感染拡大に限らず、近年は地震や豪雨、台風といった自然災害が日本各地で相次いでいます。SMは、労働生産性や商品回転率の向上のみにとらわれることなく、食料品を中心とする生活必需品を地域住民に提供するライフラインとしての役割をあらためて意識すべきだと思います。