コロナ下で売上伸長するスーパーマーケット業界 アークス横山清社長が語る「M&Aをし続ける」理由

ダイヤモンド・チェーンストア編集部
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デジタルシフトは必須に 企業間格差は拡大傾向

──アークスでは、19年10月に新基幹システムが稼働しました。

横山 14年6月の「システム統合基盤構築プロジェクト」の発足から約5年かけて150億円以上を投じ、19年10月からSAPジャパン(東京都/鈴木洋史社長)の新基幹システムを全面的に稼働させました。グループ共通の基盤として、経営情報の分析や間接業務の標準化・集約化などに活用し、グループシナジーの創出やコスト削減につなげていきます。

 SM業界でも、デジタルシフトは当たり前になりつつあります。キャッシュレスというと、これまではクレジットカードが主流でしたが、現在はスマートフォンアプリを使用するQRコード決済へと移行しています。今はさまざまな決済サービスが乱立していますが、この先1~2年のうちに方向性が定まるとみています。このような時代の変化に対応できないSMはやがて脱落し、SM業界での企業間格差はさらに拡大していくでしょう。

──SM業界で企業間格差が拡大するなか、アークスではどのような経営を実践していますか。

横山 アークスグループは、北海道・北東北の優良な地域密着型SMが提携する「強者連合」です。当社はSM9社の完全親会社としてグループ全体を統括する一方、傘下のSMは地元の消費者に寄り添い、迅速かつ柔軟な経営判断のもとで主体的に事業を運営しています。

 たとえば、旭川市を拠点とする道北アークス(北海道/六車亮社長)は、厳しい事業環境のなか、15年に総合物流センター「Dohoku arcs Mother Center(DaMC)」を開設するなど、事業改革をすすめています。

伊藤チェーンと経営統合 今後もグループ拡大へ

──19年9月、アークスは伊藤チェーン(宮城県/伊藤吉一社長)と経営統合しました。今後も同様の経営統合やM&Aを実行するのでしょうか。

横山 国内の人口が減少し、食品小売市場が縮小していくなかで、大手企業の事業規模がますます大きくなり、企業間の格差がさらに広がる「縮小拡大」は今後も続くとみています。

 02年に純粋持株会社に移行したアークスでは、M&Aを「合併・吸収」ではなく「Mind & Agreement(心と意見の一致)」と定義し、「志を同じくする企業が一定の取り決めに合意し、それに従って統合して事業を運営する」というスタイルをとってきました。11年には、北東北を拠点とするユニバース(青森県/三浦紘一社長)と経営統合し、15年度にはグループ売上高が5000億円を超えました。地域SMの優れた経営統合モデルとして評価いただく業界の声も少なくありません。

 宮城県南部で9店舗を運営する伊藤チェーンは、アークス傘下で岩手県全域および宮城県北部で店舗を展開するベルジョイス(岩手県/澤田司社長)と商圏が重複しておらず、東北エリアの店舗網の拡大につながります。アークスは関東以北を事業エリアとして売上高1兆円をめざし、当社の思想や行動規範を共有できる仲間をこれからも増やしていきます。

──グループの持続可能な体制構築に向けて、M&Aをすすめていくということでしょうか。

横山 そうですね。量販や合理化のためのM&Aではなく、持続可能な社会づくりに根ざした地域の生活インフラの担保という観点で、組織の再編成が必要だと考えています。全国的なSMのオーバーストア化が言われるなか、これまで新規出店に充てていた資金を経営統合への投資に活用するほうが効果的かもしれません。

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