家庭内で出る食品ロスは流通の何と4倍強!削減に向けた小売業の関わり方とは? 

2020/01/22 05:26
宮川耕平(日本食糧新聞社)
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食品ロスの削減は、今や食品業界の共通課題です。19年は小売への納品期限、いわゆる3分の1ルールから2分の1ルールへの緩和が一般化しました。また、節分の恵方巻のように催事に合わせて商品を山積みにすることが問題視されるようにもなりました。欠品による機会ロスは防ぎたいけれど、廃棄ロスは社会的に許されない感じで、あとは発注精度を上げるしかないという雰囲気です。しかし、販売計画の精度をどれだけ上げたところで、日本の食品ロスは効果的に減るでしょうか? 食品業界は、なかでも一般消費者との接点を持つ小売業は、もっと踏み込むべきかもしれません。そこに顧客を囲い込む可能性があるとしたら?

フードロス削減を訴求するレンジアップおでん
フードロス削減を訴求するレンジアップおでん

商品戦略はロス抑制が前提に

 食品ロス対策は、小売の商品・販売戦略の基本項目として折り込まれるようになりつつあります。直近の例を挙げると、ファミリーマートは昨年、土用の丑のウナギに続いてクリスマスケーキを完全予約制にしました。結果は、廃棄の金額は半減、加盟店の利益は3割アップでした。ウナギのときは売上を2割落としましたが、ケーキではクリスマス当日に店頭で展開した小型のものも含め前年並みとのことです。

 ファミリーマートはカウンターで販売する「おでん」の廃棄ロス削減にも取り組みます。1月14日にレンジアップで提供する新商品の取り扱いを約6000店で開始、春頃まで効果を検証します。従来のように、そこにおでんができている情緒的な効果を犠牲にしてでも、廃棄ロス削減を優先したものです。もちろんオペレーション負荷の軽減というねらいもあり、来期のおでん戦略にどう活かされるか注目です。

 イオンリテールは、恵方巻のほぼ全品を予約の対象にしました。予約品の数は19年の2倍に拡大、売上に占める割合も2倍強の35%に高める方針です。予約の傾向を当日の作り込みにも活かし、廃棄ロスの抑制につなげるといいます。

 先にも触れたように加工食品には2分の1ルールを適用し、総菜はロングライフ化の工夫が続けられています。自動発注は、人手不足への対応だけでなく発注精度も高めると期待されています。製配販の各段階で情報を共有化する気運もあり、流通段階の食品ロスは縮小していくに違いありません。とはいえ、流通段階でいくら縮小しても食品ロス全体の削減は難しいようです。

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