売れて儲かる!食品小売企業がSPAモデルを構築する方法

マッキンゼー・アンド・カンパニー・ジャパン:立林里佳子、李 婧怡(mckinsey-and-company-アソシエイトパートナー)
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最終回である今回はSPA(製造小売)化を取り上げる。国内においても、「自店でしか買えない」「ここにしかない」ことを価値とし、小売各社はPB(プライベートブランド)を含めて、オリジナル品や留め型商品の開発を加速させている。一方で、単なるNB(=ナショナルブランド)の置き換えブランドになっていたり、ただの値下げ製品となってしまい、製造コストが高まり収益性が上がらないなどの課題も多い。どのように生活者ニーズを理解し商品化につなげつつ、利益の最大化を図れるかが課題といえよう。

真の生活者理解に向けて

 「ここにしかない」商品を実現するためには、「顧客理解」やそれに基づいて設計された「商品の付加価値」が必要不可欠である。付加価値や独自のコンセプトがなければ、それ自体が消費者の購買を促進することは難しい。どのような顧客ニーズに基づき、何を価値として訴求するかを定義することが求められる。

 多くの国内食品小売企業では、生活者理解の手法として、①POSデータなど購買情報の分析、②店舗・オンラインからのお客の声の収集、を中心としている。一方で、データ分析などに時間や工数をかけ、生活者の生の声を知る工夫がまだ不十分ではないかと考えている。膨大なデータ分析ではなく、N-1分析のような生活者のニーズやペインポイントを深く理解する手法のほうが商品開発に有用なケースが多い。また、生活者の生の声を迅速に製品開発に取り込む工夫をすべきだと考えている。具体的には、小売ごとに固定のシークレットパネルを活用し、商品開発段階からフィードバック・プロセスに巻き込み徹底的に商品研究に活用したり、上市後にアジャイルにPDCAサイクルを繰り返しブラッシュアップするなど、生活者の生の声をアジャイルに製品開発に取り込む工夫をすべきではないだろうか。

トレーダー・ジョーズやウェグマンズの取り組み

 たとえば、トレーダー・ジョーズ(Trader Joe’s)では、アプリなどデジタルでの顧客情報を一切保有せずに、消費者ニーズの把握、商品開発への活用を実行している。デジタルツールを開発する代わりに、

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