床屋に行ってきました
私「15日のサッカー日本代表対北朝鮮(朝鮮民主主義人民共和国)戦でのアルベルト・ザッケローニ監督の采配は輝いていたよね。チームは0対1の完敗だったけれども、あの冷静沈着さとしたたかさは、さすがイタリアリーグ百戦錬磨の指揮官と敬意を表したいなあ」
(サッカー好きの)床屋さん「ボクもそう思いますね。ザッケローニ監督がよかったのは、主力選手をケガから守ったことですよね。すでにFIFAワールドカップブラジル大会の第3次予選リーグでの敗退が決定している北朝鮮は、この試合で選手が何枚イエローカード、レッドカードをもらっても構わない状態でしたから。国家の威信に賭けて、ホームゲームでの日本戦敗戦は許されないから、反則もいとわず、死に物狂いの危険なプレーを仕掛けてくる可能性が高かったですもんね」
私「そうそう。主力選手がつぶされる可能性だってあったからね。これを初めから回避した割り切りが凄い」
床屋さん「ザッケローニ監督は、たぶんタジキスタン戦を勝利して、第3次予選の突破が確定した時点で北朝鮮戦を“勝たなくてもいい試合”と位置付けたんじゃないですかね」
私「“勝たなくてもいい試合”?」
床屋さん「そうなんですよ。負けても構わないけど、引き分けに持ち込めたらいいな、くらいの感覚で…。でも、超アウエーの国際マッチというせっかくの場があるのだから、放棄試合のようなマネはしたくないじゃないですか。どうせならチーム力が向上する場にしたいと考えたんじゃないですかね。そこで前回のタジキスタン戦の先発メンバーを6人も入れ替えて、サブの選手に緊迫する国際マッチでの出場機会を与え、経験を積ませたんじゃないですかね。もし、結果を残せば、次試合でも先発に使うことができますしね」
私「そうなんだ」
床屋さん「たぶんそうだと思いますよ。だって、次は一緒に第3次予選を勝ち抜けたウズベキスタンを日本に迎えてのゲームでしょう。北朝鮮戦の勝敗は関係なく、ウズベキスタン戦に勝てば第3次予選の1位通過が決まるんですから、この試合を捨てても痛くもかゆくもないじゃないですか」
私「そういえばさあ、最近、産業能率大学が“アウエー力”って言ってるんだ」
床屋さん「なんですか、それ?」
私「アセアンや中国など日本のビジネスパーソンにとってアウエーというべき土地でもひるむことなく活躍できる能力のことなんだよね。単に語学や専門知識を持っているだけじゃあだめで、マインドが強く、高い常識を持ち、問題解決能力、意思疎通力のほかフィジカル的な強さが必要だと言ってる。まさにザッケローニ監督のような人なんじゃないかな。そもそも東アジアの片隅の日本に落下傘でやってきたこと自体がアウエーを何とも思っていないことの裏返しなんだけどね(笑)」
床屋さん「いずれにしても、ザッケローニ監督の采配は、これまで1試合1試合の勝敗ばかりにこだわってきた日本人にとっては、本当に目新しかったですね。アウエーでの戦い方のお手本を見せてもらった気がしますよ。さあ、仕上がりましたよ。毎度ありがとうございました」
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