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2009年8月19日

ライフスタイルを持つ生活者がターゲット

中野 勘治

菱食代表取締役社長 中野 勘治

定性的成長への布石

 

 「私が社長に就任して今年の株主総会で1年になる。旧アールワイフードサービスとの合併で菱食に来た2006年10月は菱食にとって最悪の時期だったと言えるだろう。この06年12月期の経常利益は64億円だったが合併がなければ菱食初の経常赤字転落の危険もあった。これは菱食が流通業界の大きなパラダイムシフトに気がつかず対応が遅れたためだ。


 これまでの20世紀は、カテゴリーマネジメントつまり全体主義的なマーケティングが幅を利かせてきた。しかし21世紀は個の時代つまり生活者視点のマーケティングを重視しなければならなくなっている。「量から質への転換」が求められているわけだ。これまで菱食は食のフルライン化を進めITと物流体制の先進化でリードしてきた。菱食が標準化を進めてきたとも言えるだろう。しかし市場が成長している時はそれでよかったが、現代のように高齢化と人口減少の局面ではこれまでのビジネスモデルでは成長できない。それで私が社長に就任して打ち出したのが「定性的成長」というわけだ。これまで菱食は生産者と小売という2人のカスタマーを相手にしていればよかった。しかしこれに生活者を加えて3人の顧客を相手にしなければならない。消費者ではなく、ライフスタイルを持った生活者というのがポイントである。


 その定性的成長を支える3つの要素はひとつは社員の質をどう高めるか、そして企業の体質をどう変えるか、最後にロイヤルカスタマー・ロイヤルサプライヤーとの関係をどのようにクリアにしていくかで、この3つは絶対に欠かせないと考えた。これをどう進めていくのかが改革につながる。それで若手のモチベーションを高めるために、若手社員15人を選抜して、菱食をどう変えていくのかを検討させる「トップガンプロジェクト」を立ち上げた。もうひとつは女性社員の戦力化だ。食品のお客様は圧倒的に女性が多いのに、菱食の女性管理職の比率は1%程度しかない。女性社員もどんどん活用していくことで新しい見方も広がっていく。


 会社の体質を変えるためには、これまでのような川上-川下というような発想は排除しなければならない。情報を流通させることが重要な時代に、縦の流れはあり得ない。情報は横に流れるのだから、ビジネスも横の関係、つまりイコールパートナーでなければならない。その一環としてフードコーディネート本部を設置した。例えばこれまでは廃棄していたものを新たに食材として開発したり、新しい発想で展開している。「モッタイナイ」という発想からも食材の開発が受け入れられている。さらにサバの缶詰。サバとこだわりの味噌を煮込んでサバ味噌煮を缶詰にした。普通の発想では缶詰の棚に並ぶが菱食の缶詰は高いのでなかなか売れない。それをすしチェーンのレジの横に並べたら飛ぶように売れる。いいものを作ったら売り場も作る工夫が必要と言うことだ。

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