青山商事、アパレル最大級のアプリ会員を活用したOMO戦略とは
オーダースーツ強化により、顧客体験価値向上ねらう
今後、洋服の青山業態でデジタル技術を活用した顧客体験として強化していくのはオーダースーツだ。洋服の青山ではデジラボの活用によって生まれた実店舗の余剰スペースに、オーダースーツブランド「クオリティオーダー・シタテ」を展開するなど、オーダースーツ売場の導入を積極的に進め、23年10月に全店でサービス開始している。
「クオリティオーダー・シタテ」では、オーダースーツを注文する際、初回は60~80分かけ、顧客に丁寧なヒアリングをしながら採寸し、注文を受ける。
ここで採寸したサイズや客の好み、着用目的などの情報を記録し、2回目以降は30分程度で購入できるようにしている。
また、採寸情報はアプリにも連携され、ユーザーはアプリを介してECサイトで購入することも可能だ。今後は採寸データを活用し、アプリで顧客に適した既製商品を提案することにもつなげていく。
藤原氏は「オーダースーツを注文するにあたっては、初回に実店舗で採寸することが欠かせない。なおかつ、今後は採寸データを生かしてアプリでの提案をより深化させることで、顧客を囲い込んでいく」とその優位性について説明した。
オーダースーツの24年3月期上期実績は20億円となり「対前年同期における売上の約2倍となった」(藤原氏)。オーダースーツは付加価値が高く、購入単価も高い。
同社はオーダースーツを成長カテゴリーと定め、30年までにオーダースーツの売上高をスーツカテゴリーの売上高のうち、50%にまで高める方針だ。なお、同社の23年3月期のスーツカテゴリーの売上高は347億円である。
OMO戦略の推進から着実に成長を遂げている青山商事。オーダースーツ提案による顧客体験価値の向上で、その成長にはずみがつきそうだ。
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