スーツの青山、人気ブランド「AMERI」とモード服新ブランドを立ち上げた理由と勝ち筋
青山商事(東京都/青山理社長)が9月、「スーツスクエア/ザ・スーツカンパニー」のレディス新ブランドとして、「AMERI」「Ameri VINTAGE」のディレクター兼CEO、黒石奈央子氏を起用した「CIS.(シス)」を立ち上げた。これまでのレディスラインナップは、価格を抑えたスーツ、きっちり感のあるオフィスウエアといったイメージが強い中、新ブランドはデザイン性のあるモード服というので驚きだ。影響力のある外部人材を活用して新風を巻き起こそうとしている同社の狙いは何なのか、「CIS.(シス)」の魅力や新しい販売手法などについてTSC(ザ・スーツカンパニー)営業部 副部長の今井康友氏に話を聞いた。
新しいファンの取り込み狙う

スーツスクエアの前身となるスーツカンパニーといえば、青山商事の中で長くスーツを主力に展開してきた。スーツ服ブランドとして大きな存在感を放っていたが、コロナを機にスーツ需要が減少。スーツカンパニーを含む4ブランドを新たに、オフィスウエアに特化したブランドにリブランディングした。リブランドを行ううえでテコ入れが必要だったのが、レディス向けオフィスウエアを揃える「ホワイト」だ。
今井氏は、「コロナ禍を経て、どの業種においても通勤ウエアのカジュアル化が進み、着こなしがより多様になっている。ホワイトの新たなターゲットとして、スーツ以外の通勤ウエアを狙っていくことが必要だと考えた」と話す。
そこで2023年夏、新しい女性客を取り込むために外部とのコラボレーションを検討し、どのブランドと組むべきか社内の女性スタッフにヒアリングを行った。
「そこで出てきたのがAMERI。とくにSNS活用の成功事例として社内スタッフの注目度が高かった」という。
そうはいっても、AMERIやAmeri VINTAGEはモード色の強いカジュアル服と、同社のイメージとはかけ離れている。それでもAMERIの黒石氏と手を組んで新ブランドを立ち上げることを決めたのはなぜなのか。
「既存顧客にプラスして従来のスーツスクエアのターゲットとは違う新しい顧客を取り込みたいと考えたから。黒石さんのエッセンスを入れれば間違いなくこれまでとは違う新しい洋服になるし、黒石さんの強力なファンを取り込むこともできる。黒石さんはCEOでありながら、インスタグラムで約29万人のフォロワーを抱えるインフルエンサーである点も大きな魅力だった」