青山商事、アパレル最大級のアプリ会員を活用したOMO戦略とは
「デジラボ」の活用でEC利用を促進
青山商事では洋服の青山業態において、アプリ活用により店舗とECをどちらも利用する「併用顧客」を増やすことに注力している。これまでの分析で、併用顧客のほうが年間購入金額や使用頻度が高いと明らかになったためだ。

そうしたなか外部環境では、コロナ禍の収束に伴って店舗の客数は回復基調にあるものの、EC利用者の伸び率の鈍化が懸念されている。
また、「洋服の青山」のメーン顧客層は40~50代であり、EC事業部長の新谷知泰氏は「EC利用に抵抗を感じるお客さまも多い」と話す。そこで同社は現在、店舗利用客のECへの送客に取り組んでいる。
その1つが実店舗への「デジタル・ラボ」(以下、デジラボ)の設置だ。デジラボは洋服の青山全店の在庫とEC在庫から商品を選べるタッチパネル式のシステムで、23年12月末時点で「洋服の青山」270店舗で導入されている。

導入店では、売場にデジタルサイネージやタブレットを複数台設置し、来店客はデジラボで店舗にない商品も見ることができ、店舗の在庫をサンプルとして試着や採寸も可能だ。購入した商品は自宅に配送され、後日店舗へ受け取りに行く手間も省ける。
つまり、ECと店舗の在庫が連動しており、来店した店舗に在庫がない場合も、EC上で商品が購入できるのだ。
このように販売員の接客を受けながら「デジラボ」で買物をすることによって、顧客のECサイトの利用に対する垣根を低くし、利用促進につなげている。
また、商品の店頭在庫を絞り込み、効率的に店舗を運営できるのも「デジラボ」の利点の1つだ。スーツは無地などの定番商品の場合、1つの商品につき最大30種類ほどのサイズを有するため、通常であれば店頭在庫を大量に持たなければならない。
しかし、デジラボを活用した場合、サンプルのみを揃えればよいため、売場面積を縮小し、物件費も抑えることが可能になる。また、在庫の梱包作業なども必要ないため、スタッフの人時生産性も高まり、今後いっそう「利益の取れる店舗フォーマット」を確立することが期待されている。
同社は洋服の青山業態で併用顧客の拡大を推進していくにあたり、より早く顧客に商品を届ける仕組みを確立するため、配送網も整備。店舗そのものを倉庫化し、顧客の最寄り店舗から商品を直接顧客に配送するかたちにした。
23年4月からは全店で当日発送サービスに対応している。藤原氏は「ゆくゆくは大手ECサイトさながらに、当日、もしくは翌日に商品が到着するように、配送システムをさらにブラッシュアップしていきたい」と意気込んだ。
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