青山商事、アパレル最大級のアプリ会員を活用したOMO戦略とは
OMO推進の柱は「洋服の青山アプリ」
OMO戦略において、まず機能を強化したのがスマホアプリ「洋服の青山アプリ」だ。
「アプリの情報を見たお客さまが商品を購買しようとアクションを起こした際に、実店舗と同レベルの買物体験価値を提供できるようなOMOの仕組みの構築を推進した」と藤原氏は振り返る。
このアプリの大きな特徴の1つとして挙げられるのが、顧客ごとの好みに応じた最適な商品の提案が可能な点である。同社は実店舗でのこまやかな接客と提案を強みとしており、こうした提案をアプリでも追求している。
アプリでの提案にあたってはデジタルマーケティングを強化し、顧客のCookieや購買履歴を収集。さらに実店舗では販売員に接客端末を配布し、顧客とのやりとりから得たデータも蓄積する。そこから顧客の趣味嗜好やニーズのパターンをとらえ、アプリでも最適な商品や情報をプッシュ通知などできめ細かに提供している。
また、顧客は実店舗でコミュニケーションを深めた販売スタッフを「マイスタッフ」として同アプリに登録することができる。販売スタッフはその顧客に合った情報を個別に提供できるほか、優良顧客には直接メッセージを送信することが可能だ。
加えて同アプリには、過去に購入した商品のサイズを登録すると、ECの商品ページで自分に合うサイズの商品が自動で表示される「マイサイズ機能」も搭載されている。
これらの提案をきっかけとしてユーザーが気に入った商品をアプリ上で選択すると、「(ECサイトでの)購入」「(店舗での)試着」「(店舗での)取り置き」というように、ECか店舗のいずれかで次のアクションを選択できるようにしている。
藤原氏は「アプリでは、お客さまの購入意欲を刺激し、ECおよび実店舗を利用するきっかけを提供している」と説明する。現在、アプリのユーザー数は24年3月期の上期中に50万人増となり計756万人(THESUIT COMPANY、SUIT SQUAREアプリ含む)となった。藤原氏は「アパレル業界でトップクラスのユーザー数といえるだろう」と話す。
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