サプライチェーンの高度化を支える「物流DX」~作業のデジタル化、AI活用による画像認識で人手不足を解決~

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国内最大級のアナリティクス専門カンファレンス『SAS FORUM JAPAN 2020』(2020年11月25日開催)では、デジタルトランスフォーメーションを実現する最新のソリューションが紹介された。本フォーラムにおいては「流通・小売」部門では多彩なゲスト講師が登壇。流通・小売部門の5セッション分のレポートを紹介する。

サプライチェーンの高度化を支える「物流DX」

解決すべき2つの課題

ニチレイロジグループ本社は、ニチレイが展開する4つの事業体のうちのひとつで、主に食品や低温物流を担っている。年商は約2000億円で、グループ内の売上高構成比で35%を占めている。

社名に「ニチレイ」がつくが、当社売上高に占めるニチレイグループの比率は約8%に過ぎない。9割超は、グループ外の食を扱う様々な企業の荷物を預かったり、届けたりしている。お客さまの数は5000社以上で、パブリックな低温物流事業者という立ち位置である。

そんな当社では2016年、私が所属する業務革新推進部を設立、現在、全社を挙げて業務革新に取り組んでいる。ここでは、その背景となった課題認識とDX施策などを紹介したい。

課題は2つある。ひとつは「労働力不足」である。不足といっても「人」そのものの一方、労働「時間」という面の両方がある。物流業界ではいずれも深刻で、いかに対処するかは大きなテーマとなっている。当社は、業務を熟練でなくてもできる仕事に変えていくほか、負荷の軽い仕事へ変えるというアプローチで改革を進めている。お客さまのサプライチェーンを支える持続可能な物流を実現することが目標だ。

もうひとつは「デジタル化の遅れ」。当社では基幹システムとしてWMS(倉庫管理システム)を備えているが、まだ紙をベースとした業務が多く残っていた。これに対し、物流作業、事務のフルデジタル化を最重要テーマと位置づけている。

解決のための方針には「ペーパーレス化」「だれでも出来る化」「無人・省力化」「事務効率化」「どこでも出来る化」などを掲げている。

物流DX施策の全体像
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AIによる賞味期限管理

今紹介した課題に対し、当社これまで行ってきたDX施策を3つ紹介する。

まずは「庫内作業のデジタル化」。紙ベースの作業から脱却するため、庫内でタブレットを使った入荷検品を2017年から取り入れ、今では全国50か所を超える物流センターで導入を完了している。

効果は大きく、作業面では生産性が大幅に向上。1台の入荷車両あたりの検品時間が以前の半分になったというセンターもある。ラベル以外の紙がなくなり、作業前後の帳票の整理が不要になったことも大きい。さらに画像認識AIによる賞味期限管理という機能も付加しており、徐々に成果につながりつつある。

2つ目は「無人・省人化」だ。豊田自動織機さんと共同で自動運転フォークリフトの実証実験を2018年度から開始している。マイナス25℃の過酷な冷凍環境下だが、正確な作業が行われている。この取り組みが業務に定着すると、さまざまな効果を期待できる。ひとつは夜間作業を機械に任せることで、翌日、人が作業しやすい環境をつくることも可能になる。今後、自動搬送機やロボットと組み合わせれば、ストレスフリーな物流に一歩近づけると考えている。

3つめは「先端技術追求」である。ここではAutomagi社と共同で、物流センターの監視カメラを使った施策を実施している。AIと組み合わせ、監視カメラを使って物体認識や追跡する実証実験を行っている。フォークリフトの動態のほか、各種データの可視化も可能になっている。

これらと同時に、ウィズ/アフターコロナをにらみ、自動化や非接触などをキーワードとするオペレーション改革も進めているところだ。物流センターでも、難しいと思われているリモートワークができる環境も整えていきたい。

最後に今後の展望をお伝えする。ニチレイグループのミッションは「くらしを見つめ、人々に心の満足を提供する」だ。当社もこの考えにのっとり、人が活躍できる持続的な物流を追求していきたい。

各プログラムの詳細

下記画像リンクから、各プログラムの詳細をご覧いただけます。

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