百貨店を生活商圏型SCに転換!「ららテラス川口」の全貌と戦略とは?

<施設概要>
〒332-0017 埼玉県川口市栄町3-5-1
電話:048-250-3131(管理・運営会社)
JR京浜東北線「川口」駅からペデストリアンデッキで直結
見どころ
▶旧そごうの建物の造作を有効活用した館内デザイン
▶食品スーパー(SM)や生鮮三品など日常の食を支える地下1階
▶日常生活を基本に、上質な店も配したテナント構成
三井不動産(東京都/植田俊社長)は、埼玉県川口市のJR京浜東北線「川口」駅前にあった「そごう川口店」(2021年2月閉店)を再生し、都市近郊型の生活密着型ショッピングセンター(SC)「ららテラス川口」として、5月31日に開業した。
旧百貨店が広域から集客する「ハレの日」需要中心の業態だったのに対し、新たなSCは地元住民の日常づかいを主眼に置いた中小商圏対応の大型施設へと転換。日常生活に必要な食品やカジュアル衣料をはじめ、生活雑貨、家電、アミューズメントなどのテナントを揃えた。
年間売上高は「ららテラス」業態で最大となる約170億円、年間来場者数は約600万人を見込む。ちなみに旧そごう川口店の20年2月期の売上高は159億円だった。なお、線路を挟んだ西側約2kmの場所には、2008年に開業した「ららガーデン川口」(埼玉県川口市)もあり、両施設をあわせて川口エリアで売上高300億円をめざす。
主力ターゲットは、半径1〜2km圏内に住む駅やバスの利用者。タワーマンションの建設などに伴い、近年増加している20〜30代のDINKS(子どものいない共働き夫婦)やファミリー層を中心とする一方で、旧店舗の利用者だった年配層など幅広い年代に配慮した。
価格帯も幅広く設定。低価格の生鮮食品に加え、近年建設されたマンションに居住する所得層に合わせたこだわり商品や百貨店ギフトまでを揃えた。
地下1階から地上8階、屋上までの営業フロアに、合計94店舗が入居している。
地下1階は食品と飲食のフロアで、SM「成城石井」を中心に、生鮮三品、グロサリー、総菜店、和洋菓子店などを展開する。地域住民の日常の食を支える場となっている。小型のフードコートも併設されており、計30店舗を集めた。
このうち、成城石井が総菜やデザート、グロサリーを揃え、生鮮三品については専門店がカバーする。青果は「フレッシュダイトー」、鮮魚は「魚の北辰」、精肉は「ニュークイック」が担当し、それぞれが専門性を生かし、まるで1つのSMのような売場を構成している。
1階には「スリーコインズプラス」や「プラザ」などの生活雑貨店が入居。2〜6階はファッションを中心とした構成で、駅とデッキで直結する3階には、化粧品の「SK-Ⅱ」など上質なファッション系テナントが並ぶ。
4〜8階には中・大型の専門店を配置し、目的買いの来店客を館内全体に誘導する役割を担う。「ユニクロ」や日常衣料の「パシオス」、ベビー・子ども用品の「西松屋」、家電量販店「ノジマ」、ゲームセンター「ギーゴ」などが出店している。
そごう川口店の跡地に出店するにあたっては、旧店舗で使われていた建物や内装をできる限り活用した。通常のららテラスでは使わない大理石の柱や壁をそのまま残し、傷みがあった大理石の壁面はベンチにつくり替えた。さらに、既存のデザインタイルを裁断し、共用部の柱に埋め込むなど、館内にそごう時代の面影を残している。
さらに、約17年間止まっていた入口の「からくり大時計」を修繕して再稼働させたほか、フロアサインには地元の伝統産業である鋳物を採用。地域のレガシー(遺産)を継承し、川口らしさを随所に取り入れた施設づくりを行った。






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