売場面積約5000㎡!世界最大級の無印、直江津店が提示する新しい店舗の形
フードコートでは地元の食材を使ったメニューを提供
直江津店では、160席を備えるフードコート「なおえつ良品食堂」を展開。カレー、ラーメン、丼物、定食、ジェラートなど、世代を問わず楽しめるラインアップを導入した。
京都山科店ではカレー店以外は地域の専門店がテナントとして入っていたが、直江津店ではすべて直営で運営している。しかし、一部メニュー開発では地元の専門店のアドバイスを受けたほか、頚城牛など地元ブランドの素材を使用した料理も提供しており、地域のおいしいものを伝えるというコンセプトは変わっていない。また、継続して地元の人に通ってもらえるようにリーズナブルな価格に設定。大半が500~800円程度で、1000円を超えるメニューはない。
そのほか、食の取り組みとしてはフードコートの隣に「なおえつ良品市場」を展開。上越の旬の野菜や伝承野菜のほか、不揃いや規格外の「わけあって安い」青果も販売する。加えて、上越産の米や発酵食品、乾物、加工食品、地酒など合計約100品目を展開。野菜に関しては、「JAえちご上越」が運営する農産物直売所「旬菜交流館 あるるん畑」と協業し、商品を仕入れる。
無印初の移動販売も実施
直江津店では、地域住民のための開放スペースとして「Open MUJI」を備えている。ふだんは休憩スペースや自習スペースとして利用できるほか、料理教室などのイベントも開催する予定だ。また、20年8月からは「MUJI TO GO」と称した移動販売を実施する計画で、頚城自動車の未稼働のマイクロバスを活用し、中山間地域を中心に周回する。ルートや取り扱い商品などは未定だが、主に日用品やレトルト食品などの生活必需品を取り扱う考えだ。そのほか、毎月3と8のつく日に市内で実施されている「三八朝市」にも直江津店オープン前の5月から出店を開始している。
これまで見てきたように、直江津店は単にモノを買うための場所だけでなく、地域活性化の拠点としての役割を果たすための店舗づくりを行っている。Open MUJI、なおえつ良品食堂、BOOKS & CAFÉなど、地域住民が集まりやすい環境づくりに注力し、チェーン展開する小売店としてはかなり深く地域に入り込んでいる印象だ。
頚城自動車の山田社長は、イトーヨーカドー撤退による地域の衰退を不安視していた。無印良品の出店は地域活性化の起爆剤となるか。小売業が取り組む地域との協業の先進事例として、今後の動向が注視される。