今度はパン専門店 ゴディバブランドが多角化でむしろ輝く、マーケティングの極意とは

2023/09/07 05:55
油浅健一
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なぜ多角化でもブランドが希薄化しないのか

ラウンド食パンや「ビストル」
ラウンド食パンやベルギーのテーブルパン「ビストル」なども揃う

 コンビニやスーパーマーケットで販売する製品もあれば、多様なコラボ展開による企画商品、業態ではGODIVA cafeGODIVA dessertなど、より幅広い層へアプローチを続けながら、同社は日本市場で確固たるポジションを構築してきた。ともすれば、ブランドイメージを下げかねないが、むしろファン層を拡大し、その特別感の喧伝に成功している。

 挑戦的にみえる施策の数々も、巧みなマーケティング戦略の一環であり、決してブランドの切り売りではない。それを可能にしているのは、同社がブランド=信頼ということを熟知しているからに他ならない。

 かつて、義理チョコをやめようと発信したこともあるゴディバ。その真意は贈り物は心を込めてするものだからというもの。裏を返せばそれだけ製品づくりに丹精を込めているということだ。

連日“完売”が続くゴディパンが拡げるファン層

ゴディパン店内
約30種類のパンが並ぶ店内

 高級ブランドでありながら、300店を超える多店舗展開で販路を確保。マルチチャネル戦略で多様な製品を生み出し、さらに販路を拡張、日本市場で存在感を高めてきた同社。初のパン専門店は、すでにオープンから配布の整理券が全てはける状態が連日続いている。

 このパン専門店で初めて「ゴディバ」に触れた人がゴディバファンになり、これまでのゴディバファンがさらにその魅力を再発見するーーそんな連鎖によって、ゴディバブランドはより強固になり、より多くのファンを開拓していく。

ブランディングとはなにか。マーケティングの極意とは。同社の哲学から学べることは多い。

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