まるで博物館!インバウンド消滅の銀座で気を吐くユニクログローバル旗艦店の大胆な変身とは
これまでインバウンド(訪日外国人客)の支持を集めていた、ファーストリテイリング(山口県/柳井正社長)傘下ユニクロ(山口県/柳井正社長)のグローバル旗艦店である「ユニクロ銀座店」(以下、銀座店)。コロナ禍を受け、21年9月に1~12階の全フロア改装を敢行。各フロアにユニクロの「LifeWear」を体現するインスタレーションを展示し、これまで大量の商品を積み上げていた売場は日本人が「ゆったりと」買物できる場所に生まれ変わった。
展示物でお客の五感刺激 「博物館」のような売場
ユニクロ銀座店は12年3月、ニューヨークのソーホーやロンドン、パリに次いで世界で9番目のグローバル旗艦店としてオープンした。12階建てのビル全体が売場となっている同店は、売場面積約1500坪でEC限定商品を除く国内で販売されるすべての商品を取り扱っている。19年まではインバウンド需要もあり、多くの外国人客であふれていた。店長代行の小倉佳世氏は「コロナ前は店舗売上高の約半数を外国人客が占めていた。(売場は)大変な混雑で、店員も外国人のお客さまへの対応に終始していた。スーツケース2台を持ち込んでお買物される方もいらしたほど」と回想する。
しかし当時のそのような光景は、コロナの感染拡大が始まった20年を境に激変した。インバウンド需要が消滅した銀座の街の活気を取り戻す、という想いがリニューアルに至った背景だ。21年夏に店長に就任した小河雅代氏も「日本人のお客さまに対して、ゆっくりとした買物体験を提供し、ユニクロの商品開発のコンセプトであるLifeWear(あらゆる人の生活を、より豊かにするための服)を、五感をフルに使って体感できる店にしたいと考えた」と話す。
お客の五感に訴えかけ、ゆっくり買物できる売場──。それを象徴するのが、各フロアに配置されたインスタレーション(展示物を含めた空間をアートとみなす表現方法)だ。たとえば、4階の「ウィメンズ クリーンカジュアル」には、立体的なシルエットを実現する「3D KNIT」の編み機を展示。これは、ニット編み機製造業の島精機製作所(和歌山県)と同社が共同開発したもので、ニットが織られる過程を見ることができる。ほかにも、3階の「ウィメンズ カジュアル」に展示される「紫外線(UV)カット商品の実験コーナー」や8階の「メンズ カジュアル」で、防水・防水加工を風と水を当てながら実演する「BLOCKTECH」パーカーの展示物など、LifeWearのコンセプトを体現するユニクロの最新のテクノロジーをわかりやすく伝えている。各階のインスタレーションを見て、「まるで博物館みたいだ」とスケールの大きさに驚くお客も少なくないという。
滞在時間が伸び、買い上げ点数アップ
7階の
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