安さで勝負するドラッグストア「ゲンキーの精肉売場 昨対売上15%増の秘密とは
食品の品揃えに力を入れるドラッグストア(DgS)を運営するGenky DrugStores(福井県/藤永賢一社長、以下、ゲンキー)。なかでも精肉は、お客の来店動機となり、競合店との差別化を図る商材として強化している。自前のプロセスセンター(PC)を構え、効率的な生産体制により圧倒的な低価格を実現するほか鮮度も追求し、広い支持を得ている。同社PCに隣接する岐阜県内の店舗に足を運び、同社の精肉戦略に迫った。
精肉はファン獲得の強力な「戦略商材」
ゲンキーが展開するDgSの特徴は、食品の品揃えが充実している点である。2022年6月期における食品の売上高構成比は66.3%(対前期比0.9ポイント増)と高く、年々上昇傾向にある。同社は“食品強化”を旗印に掲げていて、標準フォーマットとする300坪タイプの店舗「レギュラー店」では、食品売場のスペース構成比が実に約40%を占めている。
ゲンキーでは、00年代初頭から加工食品や日配などを扱っていたが、17年6月、新たに青果、精肉といった生鮮食品の品揃えもスタートする。同社が店舗展開するのは本部を置く福井県のほか岐阜県、石川県、愛知県、滋賀県。いずれもDgSの激戦区で、購買頻度の高い生鮮食品という商材の提供で、集客力を強化するねらいがあった。生鮮食品の中でもゲンキーがとくに力を入れているのが精肉だ。特筆すべきは、DgS企業として唯一、自前のPCを構え全店に出荷していることである。
PCを配置するのは岐阜県安八郡。物流センター「ゲンキー岐阜安八RPDC」3階の一角にあり、19年9月から稼働している。同PCでは、精肉のほか、おにぎり、丼などの米飯、揚げ物を中心とする総菜なども製造している。
PCの運営を担当しているのは子会社のゲンキー食品(岐阜県/田中芳彦社長:富士パール食品より社名変更)である。店舗で生鮮食品を販売し始めた当初は仕入れ品も多かったが、徐々に内製化を進め、自社製造の商品を拡大していった。
ゲンキーにおける精肉の位置づけを、ゲンキー食品の田中社長は次のように説明する。「他のDgSとの差別化の武器になる商材。DsSで直営の精肉売場を展開するのは一般的に難しいが、当社は自社PCを有していることからそれができる。お客さまから見れば、毎日の生活で使うことが多い食材であり、来店動機になる重要な役割があると考えている」。
ゲンキーは現在、20年6月期を初年度として3年を期間とする中期経営計画を実施している。そこでは積極的な出店を続けており、中長期的には各県で店舗数ナンバーワンをめざしている。そのなかで、他社と差別化できる精肉は、ファンをつかむための戦略商材となっているのだ。
100g当たり98円以下が「原則」
ゲンキーが
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