輸入肉に加え、国産豚も相場急騰!原価高の精肉部門がやるべきこと

ブルーチップ総合研究所:木元治仁
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精肉MD大

収益を安定的に確保しやすいとされていた食品スーパー(SM)の精肉部門だが、昨今の原価高や為替の動向など不安要素が多い。そうしたなか、SMの精肉部門はどのような施策を打っていくべきなのか。精肉部門のコンサルティングに定評のあるブルーチップ総合研究所の木元治仁氏が解説する。

豚肉の原価高が利益を圧迫

 SMの精肉部門は生鮮3部門の中でも安定して利益を確保できる部門であった。粗利益率は高い企業で35%、最低でも30%のラインはクリアしている企業が多かった。しかし、昨今はこの状況が大きく変化してきている。コロナ禍における円安相場や飼料代の高騰といった原料高が大きく影響し、これまでのような水準での利益確保が難しくなっているのだ。2022年12月の仕入れ原価は、国産牛では対前年同期比4%、国産豚肉では同約10%、アメリカ産豚肩ロースでは同約30%、オーストラリア産チャックロールでは同約40%、国産鶏モモ肉・ムネ肉で同約20%上がっている。

 なかでも、精肉部門において利益貢献度が高い国産豚肉の仕入れ原価高騰は、SMの精肉部門にとって大きな痛手である。豚肉の売上高構成比が高い関東圏のSMの精肉部門においては、粗利益率28%を確保できれば上出来、と呼べるような状況になっているという。ちなみに、コロナ前までは、国産豚肉は45%程度の値入れ率で販売計画を策定することが可能だった。内訳としては定番品で50~55%、販促品で30%の値入れを行い、売上高構成比においては定番品が65~70%、販促品では30~35%程度だった。

 値上げ局面における値入れ率の変更は難しい。節約意識の高い消費者に対して、値上げをすると、お客が離れていってしまうからだ。だからといって、輸入牛・輸入豚で価格を訴求しようとしても、こちらも原価高の影響が大きく、以前ほどの売価で打ち出すことはできない。国産肉と明確な価格差をつけることができず、結果として輸入肉も以前ほど売れないという状況に陥っている。

 今後も豚肉の高値相場は続く見込みで、国産豚肉はもはや「大衆肉」とよべるようなカテゴリーではなくなってきている。輸入豚の原価も高く、悩ましい状況ではあるが、SM各社は国産豚よりは仕入れ原価が安く、おいしい輸入豚の開発に取り組むべきだ。たとえば、国産豚と同様の飼料で肥育した輸入豚など、海外に目を向けると開拓の余地はある。

原価をあらためて意識し、販売計画を再考しよう

 原価高にSMの精肉部門はいかに対応すべきか。

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