ノンアルで「飲みニケーション」? 変わる「飲み」の意味とスーパーマーケットの機会

宮川耕平(日本食糧新聞社)
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「若者のアルコール離れ」と言われて久しいですが、酒類消費を支えてきた世代も歳を重ね、スーパーマーケットの店頭ではノンアルコール飲料が幅を広げています。コロナ禍で「家飲み」を経験し、それまでの飲酒スタイルが変わった人も多いようです。何のために飲むのかを立ち止まって考える人が増えて、「飲み」のスタイルが多様化しています。俗に「飲みニケーション」などと言いますが、その「飲み」は、もはやアルコールの飲用を指すとは限りません。

「飲む」のは、「酔う」ためか?

 以前、日本人の飲酒スタイルについて、イタリア人から「酔うために飲んでいる」といわれたことがあります。イタリア人は、「食事を楽しむために飲む」そうです。すべてのイタリア人が本当にそうかはさておき、日本人に対するその指摘は、少なからず的を射ています。コロナ禍以前、日本人が飲むとなったら、たいていの人が酔わずにはおきませんでした。

 缶チューハイなどのRTD(レディ・トゥ・ドリンク)には、アルコール度数が7~9%のストロング系というカテゴリーがあります。これが台頭してきたときに言われた消費者のベネフィットは「コスパよく酔える」というもので、きっとイタリア人には理解できないことでしょう。

 しかし日本人にとっても、「酔うために飲む」スタイルは絶対的なマジョリティとはいえなくなりつつあるようです。

 昨今では、RTDやビール類の代替飲料として、ノンアルコールないし微アルコールの開発が進んでいます。それは先進国では広く見られる傾向のようで、技術革新が顕著な成長分野とみなされています。 ビール類を例にすれば、「バドワイザー」や「ハイネケン」といった世界的なビールブランドが、そのブランド名を冠したノンアル飲料を展開するようになりました。日本でもアルコール度数が1%に満たない商品が開発され、そこまでじゃなくても、ビール類で一般的な5%に届かない商品がちらほら出ています。

ノンアル飲料のバリエーションは広がり、売場も広がる

 ノンアル・微アルの飲用動機は、アルコール代替であることはもちろんです。ただ、ノンアルで代替するなら清涼飲料に置き換えてもいいかなと思う瞬間は多くの人に訪れるようです。
 英・調査会社MINTELの同国内における調査では、ノンアル・微アルの成長が続く中、ユーザーは「ノンアル系の飲料を割高に感じてもいる」と指摘し、清涼飲料との競合は厳しくなるとの見立てを示していました。

 これは日本にもあてはまるかもしれません。私個人は、意図的に増やしたノンアルビールの飲用機会の半分が、いつしか無糖の炭酸水に置き換わりました。別に割安だからという理由でそうなったわけではないですが、実際に割安ではあります。

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