総菜売場の顔「かつ丼」、安くておいしい意外な食品小売業はどこだ?
かつ重は食品スーパー(SM)総菜部門における“顔”ともいえる商品だ。本稿では、SMなど9社のかつ重を調査し、あるべき商品設計について再考してみた。そのうえで、売上拡大のヒントを模索していく。
材料の役割とバランスがおいしさのポイント
今回調査したのはSMなど計9社の「かつ重」。当初は「かつ丼」調査で進めていたが、全商品「かつ重」という表記であったため、以下「かつ重」という名称で解説していく。さらに、外食専門店のテイクアウトは調査店舗と競合する位置づけととらえ、ベンチマーク品として、アークランドサービスホールディングス(東京都)傘下のかつやが販売する「かつ丼(梅)」(税抜540円)を設定した。
「おいしいかつ重」とは、それぞれの材料のおいしさ、さらにお互いを引き立てあうような商品設計がポイントとなる。まず、主役のかつ自体に、豚肉の旨みとさっくりとした衣のおいしさが感じられること。次に、こだわりのつゆがかつの旨みをさらに引き立たせるとともに、つゆにかつの旨みがしっかりと出る相乗効果、さらにはかつ、つゆの旨みを卵でとじ、それらの旨みをご飯とともに味わえる。言葉で説明するのは簡単だが、いざ調理するとなると、工程も多く、かつ一つひとつの工程を丁寧に行わねば目標とする味に到達しない。だからこそ、中食で求められる商品であり、おいしいかつ重に出合ったときの満足度は非常に高いものとなる。
まずは、ベンチマーク品としたかつやのかつ丼だが、個々の材料、全体のバランスがとてもよい。かつからは豚肉の旨みと衣のサクサク感が感じられる。つゆの味わいもかつの旨みを引き立てるほどよい味わいだ。卵の量も適量でしっかりとかつとつゆをまとめ、白米に肉汁を吸ったつゆがしみこみ、さまざまな食感、味わいでおいしく食べきることのできる商品設計になっている。購入したものはテイクアウト用に準備されたものであり、調理後数時間経ってもこのクオリティが維持されているところは、さすがは専門店だ。価格も税抜540円とリーズナブルである。
インストア商品ゆえ各店の品質確認を
次に、SM各社のかつ重について見ていく。
店長必読!売場づくりと販促の教科書 の新着記事
-
2024/11/30
25年春、総菜MD提案!「麺メニュー」を深堀せよ! -
2024/11/30
鮮魚部門2025年春の売場づくり提案!3月は国産サーモンに注目せよ -
2024/11/29
焼き肉商戦は新商品で先手を取る!食べ方を含めた商品の提案を -
2024/11/29
相場高に負けない!青果部門、2025年春の売場づくり、販促提案! -
2024/11/08
基本を徹底しつつ健康を意識した売場づくりで差別化を図る! -
2024/11/08
専門家がヤオコー久喜吉羽店を徹底分析!斬新な鮮魚改革と意外な課題とは
この連載の一覧はこちら [125記事]
関連記事ランキング
- 2024-12-04ヤオコー、バロー、サミットで明暗 3月期主要SM24年度上期決算
- 2024-12-11強敵が次々商圏に出店!平和堂の戦略と新たなモデル店の成果とは
- 2024-12-12関西を攻めるバロー!大阪で あえて 激戦区に出店した理由とは?
- 2024-11-18レシートは語る第15回 まもなく関西進出のオーケー、データでわかる競争力と成功のカギ
- 2024-11-18既存店の数字が良い企業は実践!競合スーパーが進出しても影響を受けない方法
- 2024-11-20子育て世代をターゲットにするヤオコー川口SKIPシティ店の最新MDを徹底解説
- 2024-12-10EDLPと独自化で対峙!自信あり、ライフの関西オーケー対策
- 2024-11-21冷食、京都MD強化 イオンスタイル伏見桃山の売場づくりを解説
- 2024-11-08怒濤の出店で1兆円が見えたロピア!大きな進化と懸念される副作用とは
- 2024-12-13地域密着のEDLP フォーマットで迎え撃つ、関西地場中堅小売の戦略