防災への気づきのきっかけに 防災グッズを通年商品で揃えるハンズの役割とは

兵藤 雄之
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防災グッズに加える新たな付加価値

都市型災害を想定し外出先から自宅に戻る時に役立つアイテムを揃えた帰宅困難者支援セット。ハンズ新宿店6階防災グッズ売場、本田路晴撮影
都市型災害を想定し外出先から自宅に戻る時に役立つアイテムを揃えた帰宅困難者支援セット。ハンズ新宿店6階防災グッズ売場、本田路晴撮影

 ハンズといえば、さまざまなカテゴリーで、ちょっと気の利いたアイデアのある商品が豊富、というイメージがある。

 「いまはフェーズフリーという考え方が広まっているが、当社の店内には、防災用品売場以外にも、有事の際に活躍できる商品(“隠れ”防災用品)が随所にある」という。

 文房具でいえば、上向きでも、氷点下でも、しっかり書ける「加圧式のボールペン」。災害時には、ふだんよりも、メモとボールペンを使うシーンが増える、と言われている。

 キッチン用品では、袋状になっているラップ「アイラップ」。少量の水やお湯でごはんも炊けるし、お皿にかぶせて使えば、食器を洗う必要もない。そのほかに、水のいらないシャンプーや手袋型のドライシャンプーシートなどもある。

 防災関連の特集展開を行う際には、通常の防災用品と合わせて、これら隠れ防災用品も同じ売場に並べるケースもあるという。

 今後、ハンズとして打ち出していく防災関連のキーワードに「都市型防災」がある。

 首都圏のタワーマンションで、地下室の浸水により、マンション内の電気が止まってしまったというケースがあったが、都心ならでは防災への備え方を提案するのが狙いだ。

 すでに、都市生活者に向けた、ハンズのオリジナル商品として、自宅で被災したときの防災入門セット「自宅待機セット」、車を一時避難スペースとして利用する際の「車載防災セット」、外出先から自宅に戻る時に必要となるアイテムをそろえた「帰宅困難者支援セット」の販売を開始している。

 小松氏曰く「自宅待機セットは、耐荷重180㎏の踏み台代わりにもなる、バケツを容器にした」という。防災用品の主たる目的は、万一のときに、それを使うことにより被害を最小限に抑えることだ。

 小松氏は「通年での売場展開は、防災への気づきのきっかけ。一人でも多くのお客さまに、防災用品を備えることが、どれだけ大事なことかを継続して伝えていきたい。ハンズにはそういう役割があると考えている」と話す。「ハンズに行けば(防災用品が)ある」。このイメージは確実に消費者の間に根付いている。

昔ながらの防災食「カンパン」。ハンズ新宿店6階防災グッズ売場、本田路晴撮影
昔ながらの防災食「カンパン」。ハンズ新宿店6階防災グッズ売場、本田路晴撮影
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