安いだけじゃない! 進化する「スーパーセンタートライアル」の総菜
トライアルも地産地消を重視? 弁当、おにぎりは地元・宮若の米を使用!
続いて注目したいのが米飯・弁当類。こちらはほぼすべての商品に地元の「宮若米」を使用しており、トライアルも「地産地消」を重視しているようだ。商品ラインアップは定番の「手巻きおむすび 辛子明太子」(149円)のほか、「おにぎりサンド タンドリー竜田」(149円)、「海賊おにぎり 鮭ツナマヨ明太」(199円)など具材も握り方も多種多様となっている。
弁当にも宮若米が使用されている。価格帯は399~499円が中心で、「旨味醤油唐揚弁当」(399円)、「大きな焼き鯖弁当」「黄金比手ごねハンバーグ弁当」(499円)などボリューム感のある商品が並んでいる。
ちなみに、トライアルは今年から社内の一部機能を宮若市内の拠点に移し始めており、その動きの中で地域の生産者やメーカーとの関係性構築も図っているという。宮若米を使用した米飯・弁当類はその一環で誕生した商品とみられ、今後も地元の素材を使った商品は増えていくかもしれない。
「中華」を激推し! 弁当からスイーツまで充実
このほか、宮田店の総菜売場で大きな存在感を放っていたのが中華総菜だ。POPでは「本格中華料理人監修」とやや仰々しいコピーが踊っているが、確かに売場に並ぶ商品は本格的。弁当は2種のおかずを盛り込んだものが基本で、「青椒肉絲・豚と木耳」「海老チリ・青椒肉絲」などの組み合わせにさらにシュウマイあるいは唐揚げがトッピングされるという構成。これで価格は399円、しかも前述の弁当同様に「宮若米」を使用している。
筆者も取材後に「海老チリ&黒酢酢豚」弁当を試食したが、予想以上の本格的な味わいに少し驚いた。とくに酢豚は総菜になるとべたっとした甘さあるいは黒酢の酸味を強く感じることが多いのだが、同弁当は個人的には甘みと酸味のバランスがちょうどよい印象だった。
もちろん一品料理も充実していて、「黒酢肉団子」(199円)、「8品目具材の中華春巻」(5本1パック・250円)、丼系では「麻婆豆腐&豚肉の玉子炒め丼」「海老チリ&麻婆茄子丼」(各350円)などを販売。さらにスイーツは監修シェフの個人名をPOPに記すほどの自信作のようで、マンゴーピューレと果肉を贅沢につかったという「マンゴープリン」、ミックスベリーを散らして見た目にも鮮やかな「杏仁豆腐」(各199円)などを冷ケースいっぱいに売り込んでいた。
総菜のレベル向上で競争力はさらに高まる?
ここまで写真とともに商品を見てきたが、「思ったよりも出来栄えや見栄えがいい…」と思われた方も少なくないのではないだろうか。ディスカウント色が強いトライアルだが、価格の安さは据え置きつつ、品質の向上も追求していることが垣間見えた。
ちなみに、トライアルは総菜の開発・製造を担う明治屋(福岡県)という子会社を有しており(2016年にトライアルホールディングスが子会社化)、宮田店の総菜売場も同社がコンセッショナリー(名前を出さない専門テナント)として入っている。一部のアウトパック商品も同社のプロセスセンターから供給されたものだ。この明治屋は料亭やレストランも展開しており、外食のノウハウを総菜の開発にも活用しているとみられる。
コロナ禍では一時的に需要が伸び悩んだものの、総菜が持つ即食性・利便性というメリットは不変のもの。トライアルが総菜という領域を今後どのように変革していくのか、そこに同社が得意とするAI・データ活用がどのように入り込んでいくのかなど、注目すべき事象は多そうだ。