チーズ市場、コロナ禍で家庭内消費が拡大!調理用途チーズを中心に需要増
宝幸:スモーク飾り切り提案やフォンデュでファミリー層を取り込む施策を強化
宝幸では常温タイプのスモークチーズ新商品発売に加え、基幹商品の「ロルフ スモークチーズ」による飾り切り提案を実施。また、秋冬期に人気の高いチーズフォンデュのリニューアルを行うことで、ファミリー層に訴求する。
内食需要の拡大でスモークチーズも伸長
1946年創業の宝幸は、乳製品をはじめ、冷凍食品や缶詰、レトルト食品、フリーズドライ製品の製造・加工および販売を行う総合メーカーだ。同社の中核である乳製品事業は「ロルフ」ブランドの名で知られ、ベビーチーズ、スモークチーズ、シュレッドチーズを軸に、さまざまなタイプのチーズ製品を展開している。
2020年3月以降、新型コロナウイルスの感染拡大を受けて、学校休校やリモートワークの推進など、生活スタイルが激変。それまでと比べ時間に余裕ができたことで、手をかけた料理をつくったり、子供と一緒に調理するといったトレンドが生まれた。また、緊急事態宣言中は外食業の多くが休業や時短営業となったことから、家飲み需要が加速。家で酒類とともにおつまみを用意し楽しむ人も増え、料理用のシュレッドからおつまみタイプまで、チーズの市場も好調に推移した。
宝幸のロルフブランドが最も力を入れているのが、スモークチーズカテゴリーだ。スモークチーズのマーケットは、近年、横ばい傾向にあったが、ほかのチーズカテゴリー同様、3月以降に需要が一気に拡大した。
スモークチーズの需要期は、ビール類の売上が伸びる夏場とボジョレー解禁からクリスマス・年末年始にかけてだが、今期は春先から一気に数字が伸び、緊急事態宣言解除後も伸長。20年7月~9月のスモークチーズ売上数は前年対比17%増と好調に推移した。
宝幸の「ロルフ スモークチーズ」はチェダーチーズを100%使用したロングセラー商品だ。120g、160gの2種をラインアップし、チェダーチーズならではのコクと、桜のチップでじっくりと燻製した豊かな薫りが楽しめる、同カテゴリーを代表するブランドとなっている。
宝幸では今期、スモークチーズの飾り切りを提案。「ロルフ スモークチーズ」はウインナーに似た形状をしているため、動物の形に切るといったアイデアも出やすい。同社ではスモークチーズを用いた犬のつくり方を紹介するPOPなども用意し、ファミリー層に向けて訴求する。
チーズフォンデュを使ったアレンジレシピも紹介
今期は常温タイプのスモークチーズ「ロルフ 燻製チーズ」を発売。チェダーチーズを使用し、常温ながらしっかりとした味わいに仕上げた。黒を基調とした高級感のあるパッケージは、ビールのアイコンも入れたことでおつまみとして想起しやすい。常温商品のためアウト展開もしやすく、酒類売場で一緒に陳列するなどクロスMDにも適した商品となっている。
もう一方で、力を入れていくのが、チーズフォンデュの提案だ。「4種のチーズを楽しむチーズフォンデュ」は今秋、商品をリニューアル。今年はゴーダ、チェダー、パルメザン、そして、昨年までのエメンタールから近年人気の高いラクレットへと変更した。また、パッケージもスイスの山々と草原をイメージしたデザインとなっており、洋日配バイヤーからも好評だという。
「4種のチーズを楽しむチーズフォンデュ」は、これまで50代以上のユーザーが中心だったが、近年のチーズダッカルビやパネチキンの流行によりチーズ料理を自宅で食べるようになった30、40代も新たなターゲットとして取り入れたいという。チーズフォンデュは基本的に具材をつけて食べるスタイルだが、ソース代わりに野菜や魚、肉類などにかけて使うこともできる。
外出自粛に伴うまとめ買いにより、生活者の家庭内在庫をどう回転させるかが食品スーパーの近々の悩みとなっているが、チーズフォンデュは汎用性が高く、同社のウェブサイトでは「4種のチーズを楽しむチーズフォンデュ」を使ったオリジナルレシピも紹介されている。宝幸ではスモークチーズの食べ方提案やハレの日の食卓にもピッタリのフォンデュ提案で、新規顧客の獲得に努めていきたいとしている。
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