日本酒市場、季節感のある演出や総菜とのコラボ、飲み方提案でトライアル促進を

石山 真紀(フリーライター・売場研究家)
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日本酒(清酒)の金額PIおよび金額PI対前年推移

若年層や女性など新規顧客をつかむ売場づくりへ

 23年に入って新型コロナウイルスの流行も落ち着き、外飲みの市場も徐々に回復してきたが、市販用の売上も極端に減少していないことから、家飲み消費もある程度定着したとみられる。

 昨今の日本酒はフルーティーな香りを楽しめる商品が多く、和食だけでなく洋食や中華などさまざまなメニューに合わせやすい。

 価格訴求だけでなく醸造法や味わいの違い、料理との合わせ方など自分向きの商品と感じられる提案でトライアルにつなげることが、マーケットの拡大につながるだろう。

 白鶴酒造ではワイン用酵母と日本酒用酵母を掛け合わせて開発したハイブリッド酵母を使用した新商品「HakutsuruBlanc」を発売した。大関では業界初となる有機JAS認証を取得した純米酒「#J(ハッシュタグJ)」を展開する。

 小西酒造ではグラスでカジュアルに楽しむ「KONISHI ひやしぼり」シリーズを提案。菊水酒造では発売50周年を迎えた「菊水ふなぐち」を中心にキャンペーンを展開する。宝酒造は人気のスパークリング日本酒、松竹梅白壁蔵「澪」のリニューアルを実施し、若年層に訴求する。

 日本酒は長年中高年層に支えられているカテゴリーであり、それぞれのブランドが多くのロイヤルユーザーを抱えているが、今後、市場を拡大していくためには若年層や女性といった新しいユーザーの獲得が重要になるだろう。

 夏場に向け冷酒や微発泡タイプによる提案を行うほか、日本酒のタイプ別の選び方や飲み方提案、季節感のある演出や総菜とのコラボレーションなど、手に取りやすい環境をつくることで日本酒売,場を盛り上げたいところだ。

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