「ビーガン」よりも「プラントベース」? 行動・意識調査に見るサステナブル消費のリアル

日本大学大学院総合社会情報研究科教授 加藤 孝治
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Iryna Mylinska/istock
Iryna Mylinska/istock

 ダイヤモンド・リテイルメディアが2022年11月に実施した「第1回サステナブル・リテイリング表彰」()の審査に立ち会い、日本の食品小売業界でも着実にサステナビリティに対する取り組みが進化していることを知り頼もしく感じられた。

 サステナブルな企業行動は、中長期的には避けては通れない問題であるが、短期的には必ずしも経済合理的ではない。投資家や消費者などのステークホルダーがそうした企業行動を支持する必要がある。すでに、ESG銘柄を投資対象とするなど株式市場では、市場が社会的な取り組みを積極的に行う企業をバックアップする動きが進んでいる。

 本稿では、食品小売企業にとって、もう1つの重要なステークホルダーである消費者の食品消費・食品購買行動について考えてみる。

 遡ってみれば1990年代以降、消費者の価値観の多様化を受け、各企業は「こだわり消費」に応えて、ある程度ムダを受容した品揃えを行ってきた。

 これからは2010年代半ば以降のサステナビリティに対する社会からの要請に応えなくてはいけない。しかし、消費者意識も同じように変化していればよいが、その速度が一致していなければ「社会の要請に沿ったものを並べても消費者は買ってくれない」ということになりかねない。

 そこで今回、現在の消費者の意識を把握するべく、食品に対する倫理的消費(エシカル消費)の意識や行動の変化に着目しWebアンケート を行った。その結果から今後、食品小売企業がめざすべき、サステナブルな施策の方向性考えてみたい。

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※1 「第1回サステナブル・リテイリング表彰」https://diamond-rm.net/management/sdgsesg/270279/
※2「食品購入・消費の際に倫理的な意識を消費者は持っているのか(2021年12月)」について,㈱インテージを通じたインターネット調査を行い,3777人に調査依頼し516人の有効回答(有効回答率13.7%)が得られた。詳細は「日本人の食品消費行動の変化と企業行動について ―消費者アンケートに基づく一考察―」日本大学大学院総合社会情報研究科紀要 Vol. 23 No. 3, 131-140 (2022) を参照頂きたい。https://gssc.dld.nihon-u.ac.jp/wp-content/uploads/journal/pdf23/23-131-140-Kato.pdf

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