鮮度が長持ちすればロスも削減!食料廃棄問題に取り組むフードテック
農産物の鮮度を長持ちさせる“魔法”の袋
アメリカのノースウェスタン大学の大学院生のグループが2015年に設立したヘーゼル・テクノロジーズ(Hazel Technologies)は、野菜や果物の鮮度を長持ちさせるサシェと呼ばれる小さな袋の研究開発に取り組むスタートアップ企業だ。米国農務省(USDA)が支援しており、この小さな袋は植物成長制御因子である1-MCPを少量、放出することで、青果物の熟成のプロセスを遅らせ、カビや腐敗を防いでくれる。小袋は、塩や胡椒の小袋くらいの大きさで、この小袋を輸送箱に入れるだけで、最大で3週間安全な化学物質を放出し、最長で3倍、青果物の鮮度を保つことができる。すでに、北米・南米の12か国100社の顧客が利用している。
大手アボカドメーカーのミッション・プロデュース(Mission Produce)社もその1つで、通常、小売店で売られているアボカドは、2日から5日で販売しなければならないが、このヘーゼル・テクノロジーズの小袋を使えば、7日から10日間鮮度を保つことができるという。「通常、アボカドは完全に熟した後数日以内に、内側が黒く変色していくが、この小袋を使って室温で保管した一部のアボカドは、2週間後にスライスしても、まだ良い状態であった」と、去年12月、事業開発担当シニアディレクターのPatrick Cortes氏はLos Angeles Timesの取材に語った。青果の専門食材を扱うフリーダ(Frieda’s)も、この小袋を使用している。フリーダの調達部部長であるAllen氏は、去年7月「ヘーゼル・テクノロジーズの小袋を使うことで、高品質のトロピカルフルーツを、常時提供することができるようになった」と、プレスリリースで述べた。
食料廃棄は、世界規模で深刻な問題となっており、一人一人が食品ロスへの対策に取り組む必要が大いにあるが、それと同時に、青果物のサプライチェーンを効率化させ、食品のロスを減少させるこのようなフードテックの技術が、今後ますます必要になってくるのではないだろうか。