今夏の天候予測!例年より暑い?2023年夏にすべきMD対策とは

常盤 勝美 (True Data流通気象コンサルタント)
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暖候期予報の行間を読む

 さて、暖候期予報の解説文を目で追っただけでは見逃してしまいがちな「行間の読み方」のポイントをここで解説したいと思います。

 たとえば「猛暑の可能性がある」というと、夏の間中ずっと暑い日が続くことを連想してしまいますが、必ずしもそうではありません。上記ポイントでも触れたとおり、暖候期予報では「夏前半を中心にラニーニャ現象の影響が残る」と表現しています。日付から単純に夏を前半後半に分けるとすると、前半は6月1日~7月16日、後半は7月17日~8月31日です。盛夏期における暑さのピークは基本的に夏の後半であり、ラニーニャ現象の名残の影響も小さくなる時期に該当します。つまり、一番暑い時期の気温はおおむね平年並という解釈もできます。

 そう考えると、少なくとも8月中の残暑は、それほど厳しいものではない可能性が示唆されているのです。近年、夏は残暑が長引くことが多く、年によっては10月初めまで残暑対策が必要なこともありますが、今年の場合、残暑に対してあまり悲観的にならず、お客の関心が秋物へスムーズに移行することを期待したいところです。

今夏のMDに向けた対策とは

 夏前半は気温高めの可能性が高いことから、夏物や盛夏物の商戦は早めの展開がよさそうです。また、長梅雨の可能性もそれほど高くないことから、行楽に向けたアウトドア用品(キャンプ用品、海水浴用品など)は積極的に展開したいところです。

 屋外活動が活発になることから、熱中症患者も近年にない多さとなる懸念があるため、熱中症関連商品もしっかり売り込みましょう。さらに、気温の高い日が多いと生ごみの腐敗も早く進んでしまうため、ゴミ袋や脱臭剤なども欠品に注意が必要です。一方で、飲料水の在庫に関しては、現時点では水不足に陥る可能性が低いので、過分に品揃えしなくてもいいかもしれません。

 ラニーニャ現象による暑さのピークを過ぎた8月も、気温の高い日が多いことを想定すべきですが、先述したように残暑がそれほど厳しくないことが期待されるため、秋物季節メニューも順調に展開を増やしていきたいところです。

 8月から秋の味覚の代表として展開を強化するさまざまな商品の中でも、生鮮品は予想が難しく、産地周辺での局地的な極端気象、あるいは長期予報では状況把握が難しい台風の直撃などによって相場が大きく変動する可能性があります。そのため、加工食品の中から販促強化ターゲットを決めて展開するといいでしょう。こちらも、例年に比べるとやや早仕掛けが効果的と考えています。

 暖候期予報の発表は、年間でこの1回だけですが、今後は毎月20日前後に発表される3か月予報などで直近の天候予測情報をアップデートする作業が必要となります。今夏の気候予測に関する変化の兆しがないかを定期的に見極め、その予報内容によって適宜MD計画を最適化していきましょう。

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記事執筆者

常盤 勝美 / True Data 流通気象コンサルタント

株式会社True Data 流通気象コンサルタント  神奈川県小田原市生まれ。

大学で気候学、気象学を専攻した後、20年以上にわたり民間気象情報会社にて、コンビエンスストア、スーパーマーケット、食品メーカーなどに対してウェザーマーチャンダイジングの指導などを行う。現在は株式会社True Dataに所属し、流通気象サービスを推進している。著書に「だからアイスは25℃を超えるとよく売れる」(商業界)など

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