ワークマンを抑えたトップは!? 2019年の小売業、時価総額を増やした勝者、減らした敗者
今回は年末ということもあり、2019年の小売業を、上場企業の時価総額がどれだけ金額ベースで増減したか、という視点から振り返ってみたい。時価総額とは発行済み株式数に株価を掛けた金額であり、「今の株価でその企業の株式を全部買うといくらかかるか」と言う企業価値を示す指標だ。この実額の増減こそ、資本市場に対して企業がどれだけ価値を高めたかを判断する有効な指標だと考える。ぜひ以下のデータにお付き合い願いたい。

時価総額増加額上位10社の特徴は?
データは2019年12月19日の小売業に属する時価総額500億円以上の企業114社の過去1年間の株価の騰落率から年間の時価総額の増減額を算出している。
この114社の算出時点の合計時価総額は38.6兆円。114社合計の時価総額の年間増減額はプラス6376億円になる。
ここでは時価総額の増加額が大きかった上位10社、減少額が大きかったワースト10社を見ていきたい(社名のホールディングスは、表内ではHLDGと表記)。まず、時価総額を増やした企業上位10社は以下の通りだ。なお、上位10社の時価総額は年間で2.37兆円増加した。
| コード | 銘柄名 | 市場 | 時価総額 (億円) |
株価騰落 【率】(%) |
時価総額 年間増減額(億円) |
ROE(%) 直近実績 |
|---|---|---|---|---|---|---|
| 9983 | ファーストリテイリング | 東1 | 70,581 | 13 | 7,998 | 18 |
| 7564 | ワークマン | JQ | 8,373 | 165 | 5,214 | 15 |
| 9843 | ニトリHLDG | 東1 | 19,553 | 17 | 2,861 | 14 |
| 3391 | ツルハHLDG | 東1 | 6,817 | 36 | 1,813 | 12 |
| 3141 | ウエルシアHLDG | 東1 | 7,075 | 21 | 1,247 | 13 |
| 2670 | エービーシー・マート | 東1 | 6,157 | 23 | 1,155 | 12 |
| 7649 | スギHLDG | 東1 | 3,889 | 32 | 950 | 11 |
| 8252 | 丸井グループ | 東1 | 5,898 | 17 | 875 | 9 |
| 8282 | ケーズHLDG | 東1 | 3,377 | 33 | 834 | 10 |
| 3563 | スシローグローバルHLDG | 東1 | 2,573 | 42 | 766 | 22 |
| 合計 | 134,293 | 23,712 |
上位3社には、グレーターチャイナの消費大国化の恩恵を受け収益面で真のグローバル化が進んだファーストリテイリングをトップに、作業着からカジュアルウエアに商品を広げて消費者の支持を集めたワークマン、家具・ホームファッションを両輪に着実に製造業小売業としての強みを国内で発揮するニトリが続く。“ポストユニクロ”を期待され大躍進したワークマンを、ファーストリテイリングがきっちり抑えたことも注目すべき点。ファーストリテイリングの盤石さを示しているだろう。また、マツモトキヨシホールディングスとココカラファインの経営統合協議が話題となったドラッグストア業界から3社ランクインしていることも特徴的だ。
顔ぶれの特徴として3つ挙げることができる。
- 商品カテゴリがフォーカスされた専門店であること
- PBに強く、場合によってはSPA化していること
- ROEが総じて2桁
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