ワークマン土屋哲雄専務取締役インタビュー、組織再編で作業服の開発比率を大幅アップ
ワークマン(群馬県/小濱英之社長)は、2025年1月30日、「ワーク強靭化宣言」を発表した。同社はこれまで一般客向け製品の開発に注力してきたが、その結果、作業服の売上が伸び悩む状況に直面していた。この状況を打開すべく、作業服の強化に乗り出す。ワークマンの今後の成長戦略について、土屋哲雄専務取締役に話を伺った。
一般向け拡大も作業服手薄に
―まず、ワークマンの業態とこれまでの沿革について教えてください。

土屋 ワークマンには3種類の業態がある。
1つ目は創業以来メーンで展開してきたプロ職人向け業態「WORKMAN(ワークマン)」だ。価格と機能性を重視した作業服のプライベートブランド(PB)商品を中心に提供し、職人にとって欠かせないブランドとしての地位を築いてきた。
2018年に、プロ職人に加えて一般消費者もターゲットにした2つ目の業態「WORKMANPlus(ワークマンプラス)」を導入した。デザイン性と機能性を兼ね備えたアクティブウエアが人気を博し、一般消費者に大ヒットした。既存のワークマンを業態転換しながら出店を進めたことで、ワークマン全体ではアクティブウエアの比重が高まった。
20年には、PB商品開発のノウハウを生かして、3つ目の新業態店舗「#ワークマン女子」をオープンした。作業服を扱わない業態として、女性をメーンターゲットにデザイン性やトレンドを重視したカジュアルウエアを展開して成功を収めた。そして、25年2月以降、#ワークマン女子は「Workman Colors(ワークマンカラーズ)」に改名した。従来の女性向けブランドから、男女両方をターゲットにし、よりトレンドをとらえたカジュアルウエアブランドへと刷新した。
当社は、ワークマンプラスの成功を契機として大きく変貌(へんぼう)した。カジュアルウエアの業態はワークマンカラーズへの改名によりほぼ固まったため、同業態でこれから大量に出店を進めていく。
―ワークマンカラーズに改名したことにより、カジュアルウエアの商品開発はどのように変化しましたか。
土屋 ワークマンカラーズへの改名に当たり、男性向けカジュアル衣料を拡充して、男女比率を1対1に設定した。さらにキッズ向け商品も増やし、ファミリーで利用できる品揃えにした。強化した男性用衣料は普段使いできる商品を増やして、女性とともにベーシックな色味に統一している。一方、女性用衣料は今まで以上にトレンドを取り入れた商品を増やした。
―25年度第3四半期の商品別売上高を見ると、対前年同期比の伸び率が最も小さかったのは「ワーク・アウトドアウエア」でした。一般消費者向けの業態が躍進する一方で、近年は作業服の売上が伸び悩み、職人離れが進んでいると言われています。これについてどのように分析していますか。
土屋 カジュアルウエアの開発に注力したことで、一般消費者向け商品の売上は好調を維持しているが、その一方で、作業服を扱う既存店向けの製品開発が手薄となり、売上の伸び悩みが続いている。
さらに、長夏の影響も受けている。冬物の販売期間が短くなり、当社の強みである防寒作業服などは、在庫を多く抱えていたものの振るわない結果となった。また、猛暑対策品や通年作業服の新商品投入が進まなかったため、夏物での補完も難しかった。
作業靴や手袋、工具などの作業用品は堅調に推移しているため、作業服の伸び悩みは人員不足による気候不順への対応の遅れが大きな要因だと考えている。これは反省すべき点だ。