「日本流」台湾へ、テナントと連携したららぽーと台中の新しいSC づくりとは
国内市場の縮小が見込まれるなか、海外、とくに経済成長著しいアジア地域の市場開拓に挑む小売企業が増えている。そうしたなか三井不動産(東京都/植田俊社長)が2023年5月16日、台湾・台中エリアに、ショッピングセンター(SC)「三井ショッピングパークららぽーと台中」(以下、ららぽーと台中)をオープン。日本流のSC開発で現地の支持獲得に成功している。
台湾初の「ららぽーと」業態
最初に、台湾の基礎情報について触れておこう。国土面積は約3万6000k㎡で日本の九州(離島を除く)と同等の広さだ。人口は約2330万人で、近年は日本同様に少子高齢化が社会問題化している。一方、1人当たり実質GDP(国内総生産)は成長を続け遠くないうちに日本を超えると予測されるほどだ。1世帯当たり可処分所得は約450万円(22年、中央値:1台湾元=4.77円換算)となっている。
「ららぽーと台中」は台湾中部の台中市に位置し、在来線台湾鉄道「台中」駅から徒歩約6分、砂糖工場跡地にオープンした。台中市は台湾第2の都市で人口は約280万人に上る。
三井不動産の大型商業施設が台湾で開業するのは4カ所目。先行した施設はいずれもアウトレット業態の「三井アウトレットパーク」で、SC業態の「ららぽーと」としては台湾初となる。
建物は北館と南館に分かれており、合計約6万8000㎡に及ぶ店舗面積に約300店のテナントを誘致している。
三井不動産は現在、海外では中国、マレーシア、台湾の各都市に計8つの商業施設を展開している。台湾における商業施設としては、16年に「三井アウトレットパーク台湾林口」で初進出を果たし、続いて18年に「同台中港」、22年に「同台南」を開業した。三井不動産の現地法人である台湾三井不動産股份有限公司でテナント誘致営業を担当する大熊麻祐子氏は「台湾は親日の方が多く、日本への渡航者も多い。また台湾では百貨店型商業施設が中心で、SCの潜在需要は大きい」と台湾進出の背景を語る。
アウトレット施設の売上が堅調に推移したことから「ららぽーと」の開発機会をねらっていたところ、台中エリアでの話が持ち上がった。台中市は、在来線の駅周辺を旧市街地に、徐々に北西に向かって開発が進み現在は北西部の市政府のあるエリアが最新の街となっている。そうしたなか改めて旧市街エリアにも賑わい創出めざす再開発の流れにより、「ららぽーと台中」の開業に至った。
日本発の専門店で差別化を図る
「ららぽーと台中」の
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