やりがちな「スキル採用」で会社がめちゃくちゃになる理由と正しい採用戦略とは
「スキル買い」が失敗する理由
採用で失敗する最も典型的なパターンは「スキル買い」である。これは、うちの会社は「デジタルが苦手だ、ECを強化したい、だからIT企業から人を採用しよう。できればECの経験がある人を選ぼう」という考え方だ。
この極めて単純な発想の採用手法のどこがおかしいのかお分かりだろうか。仕事はチームでやるものだ。その人ひとりでやるものではない。だから、そのデジタルのプロ、ECのプロが独断的に組織を振り回し、「俺が昔いた会社はこうだった」「私が前にいた会社ではこれが当たり前だった」を繰り返し、チームのスキルのなさ、仕組みのなさをバカにする。そして、組織から孤立し、ときに組織を破壊して去って行くということが起こるのである。
スキル買いの決定的な弱点は、コミュニケーション力や忍耐力、また、人に対して教育をしてゆこうというメンタリング力である。えてして、スキル買いした人材は、まわりからの期待が大きいだけにコユニケーションを乱雑にすすめ、また、期待が大きいがゆえにいきなり高い役職で入社をするものだから、ハラスメントまがいの行動を繰り返す。
だが、「そんな悠長なことを言っている場合ではない。ECをさっさと立ち上げなければならない」という場合はどうすべきか。コンサルティングファームでは、こうした問題を幾度も経験したため、「チーム採用」といって、入社後すぐに稼働できる「チーム移籍」を増やしている。「チーム移籍」であれば、お互いに知らないこともないし、既存の組織文化とことなっても、治外法権区域においておけばよい。ただし、チーム採用で注意をしなければならないのは、チームの中に入社要件を満たさない人材が紛れ込んでいるケースである。ここを注意していれば「チーム採用」は「スキル買い」と共存する。
こんな企業は要注意 「上司の時間の取り合い」がある
日本企業は、何も知らない新卒を一括採用し、自社の色に良い意味でも悪い意味でも染めてゆく。したがって、自分の会社がおかしなルールで動いていても、それを「おかしい」と認めない。
例えば、こんなことがあった。単に、お客さまとのアポイントをとるだけの話である。その会社は、複雑な組織体系で、縦軸に事業部制を横軸に機能別組織を同時に採用していた。いわゆる「マトリクス組織」だ。一見、先進的に見えるこの組織の最大の弱点は、現場にとって「縦の上司」と「横の上司」がいるということである。これに、さらにエリア別に組織わかれているような大企業であると、「西日本の上司」や「東日本の上司」などもいて、全員が集まらないと会議が開けない。みな、Outlookのようなデジタルツールを使っていて、上司の時間の取り合いが始まる。5分の隙もないほど会議がびっちりはいっているような会社は要注意だ。
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