コロナ後も強い生協宅配を軸にした事業間連携で、生協はこう変わる!
組合員の声をAIで分析、デジタル活用も加速
長年の課題とする新たな組合員の獲得については、コロナ禍を機に非接触ニーズがさらに高まったことから、かつてのような訪問による勧誘が難しくなっており、新たなアプローチ施策を模索中だ。
なかでもカギとなるのがデジタル活用である。とくに若い世代の利用獲得には、加入手続きをネット上で完結できる仕組みや、ネットで簡単に買物が済ませられるユーザビリティの実現などが求められている。
生協はデジタル活用が遅れているともいわれるが、先進的な生協では成功事例も出ている。たとえば、食品宅配の競争が激しい首都圏を事業エリアに持つパルシステム連合会(東京都)では、22年8月にスマホアプリをリニューアルし、アクティブユーザーを2ケタ伸長させている。組合員の口コミデータと購買履歴データをAIによって分析し、おすすめ商品や買い忘れている可能性のある商品を適時提案するなど、生協宅配のような1週間分のまとめ買いもストレスなく可能にする、利便性の高いアプリ開発に成功している。
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このように事業間連携やデジタル活用を進める生協の動きから見えるのは、生協が週時宅配を軸に、食品を中心とした組合員の日常におけるあらゆるニーズを深掘りしようとする姿だ。宅配以外の事業やデジタルでの顧客接点を拡大し、得られた顧客データの活用により一人ひとりに寄り添った提案、サービス提供を図ろうとしている。
その動きは今後もより広がりを見せると予測される。本特集の取材で、コープさっぽろはいよいよ健康診断事業にも参入することを明らかにした。医師・看護師と契約し、まずは職員向けに移動検診車による健康診断を始める。24年度には組合員にも対象を広げる計画で、こうして得られる健康データも商品の提案に生かしていきたいという。
こうした地域の生活者に密着した事業が展開できるのは食品ECにはない生協だからこその強みだ。コロナが収束した今、生協宅配はいよいよ独自の進化を遂げていきそうだ。
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