そごう西武よりも難路に?セブン&アイ「スーパーストア事業」再生のゆくえ

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SST事業はIPOを目指すべきか!?

 さて、SST事業が首尾良く目標を達成する場合、SST事業はIPO(株式公開)をめざすべきでしょうか。

 筆者は基本的に親子上場には否定的ですが、SST事業が自立できるのであれば、その先はSST事業単独で思い通りに事業価値の最大化を進めるべきだと思います。そのためには、セブン&アイが最終的には1/3以上の議決権を残すことを念頭にIPOを行い、新株を発行して資金を調達し、成長投資に充てるべきだと考えます。セブン&アイも一部の持株を売却し、それをコンビニ事業のさらなる強化に充当することが望ましいでしょう。

 SST事業が自律的に成長するのであれば、関係する役職員の士気もあがるはずです。イオンがまいばすけっとやアコレを展開し首都圏で支持を高めているように思いますが、SST事業もいったんコンビニ事業の視線から離れて独自に首都圏の商圏を獲得する新たな業態開発までできるようになるのが理想ではないでしょうか。

 そして、SST事業のIPOを起点に、SST業界の集約が進む起爆剤になれば面白いと思います。西友も絡んでくるかもしれません。

もし改革の成果が不十分な場合、何が起こるのか?

 一方、改革が不十分な成果にとどまった場合、さすがに事業の切り出しを株主が求めてくると思います。収益率があがらず、事業の維持・拡大に必要な資金を自前で十分に確保できず、縮小スパイライルに入りかねないからです。

 その場合は、百貨店事業の切り離しの経験を踏まえて、穏便ながらも迅速に手を打ってくると思います。この場合もやはり、SST業界の大型再編につながる契機になりそうに思えてなりません。

 冒頭、そごう西武の幕引きを見ていたSST事業の関係者の方のお気持ちを考えてみましが、実際にはこれを経てSST事業の改革成功に奮い立っていると思います。

 まずは10月12日、10月31日を楽しみに待ちたいです。

 最後になりますが、株価急落が起きやすい10月を迎えました。財務余力のある上場企業の財務の方には、自社株買い発動の準備をお願いしたいと思います。

 

プロフィール

椎名則夫(しいな・のりお)
都市銀行で証券運用・融資に従事したのち、米系資産運用会社の調査部で日本企業の投資調査を行う(担当業界は中小型株全般、ヘルスケア、保険、通信、インターネットなど)。
米系証券会社のリスク管理部門(株式・クレジット等)を経て、独立系投資調査会社に所属し小売セクターを中心にアナリスト業務に携わっていた。シカゴ大学MBA、CFA日本証券アナリスト協会検定会員。マサチューセッツ州立大学MBA講師

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記事執筆者

都市銀行で証券運用・融資に従事したのち、米系資産運用会社の調査部で日本企業の投資調査を行う(担当業界は中小型株全般、ヘルスケア、保険、通信、インターネットなど)。

米系証券会社のリスク管理部門(株式・クレジット等)を経て、独立系投資調査会社に所属し小売セクターを中心にアナリスト業務に携わっていた。シカゴ大学MBA、CFA日本証券アナリスト協会検定会員。マサチューセッツ州立大学MBA講師

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