サステナファッションは非現実的 アパレル産業がすべき本当のSDGsについて考える
サステナファッションが非現実的である理由
さらに、2017年、トランプ大統領は地球温暖化について、各国が約束をした「パリ協定」を、「中国に有利な協定で不公平だ」と言って離脱した。つまり、トランプ下の米国では、SDGsを守ることは、自由な資本主義活動をすることを阻害すると理解しているわけだ。
というより、私たちは、そもそもSDGsに準拠し人権を守り気候変動に具体的な対策を行うことについて、中国も米国も(もしくは我々も)「不公平だ」と考えていることに驚いていて欲しい。
いつしか「サステナ・ファッション」などといい、価格が数倍もするオーガニックコットン使用を企業に義務づけ、「消費者は変わってきており、環境コストを払ってでもサステナ・ファッションを好む」と、ルイ・ヴィトンやエルメスなど我々のビジネスとは関係ないスーパーブランドの事例があるから取り組むようにプレッシャーをかけられるようになった。
スーパーブランドは、先進的な取り組みをすることがブランドの増強につながり、サステナブルにかかるコストを富裕層に転嫁できるから可能なのだ。OECD諸国で最も貧しく、百貨店で衣料品さえまともに買えなくなった日本人の購買力を無視したレトリックを疑うことさえしていない。
世界に占める排出割合が3.2%に過ぎない日本において、消費財は80%が内需であるわけだからたかだか2.5%の影響力しか地球環境に与えていないの努力を毎日続けているわけだ。私は、アパレル産業の人達に、そして、アパレル産業を語る人達にこうしたマクロの視点をもっていただきたいと思う。
役人は当然分かっているのだろうが、組織縦割りや自分の仕事の領域だけを守る「組織の壁」によって、結果的にこの事実は無視されている。これらの情報は、ウェブブラウジングすれば直ぐに分かることばかりだ。環境産業第2位と呼ばれているアパレル産業が、SDGsに本当に役立つために、私たちはなにをすべきか。次週は、私の産業戦略を述べたい。
プロフィール
河合 拓(経営コンサルタント)
ビジネスモデル改革、ブランド再生、DXなどから企業買収、
デジタルSPA、Tokyo city showroom 戦略など斬新な戦略コンセプトを産業界へ提言
筆者へのコンタクト
https://takukawai.com/contact/
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