年率約30%成長!止まらない快進撃 ロピア、強さの秘密を徹底分析!

小野 貴之 (ダイヤモンド・チェーンストアオンライン 副編集長)
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単なる安売りではない!「1品単価」に注目

 では、どのようにしてロピアは安さを実現しているのか。専門家らの調査で見えてきたのは、同社の生産性の高さだ。

 看板部門である精肉を例に取ってみると、ロピアの精肉売場では、一般的なSMでよく見られる「スライス」「薄切り」といった品名の商品の取り扱いは極端に少なく、作業効率の高い「切り落とし」に加工を集中させている。

 また、少量パックを扱わず、大容量パック中心の品揃えであることも、生産性アップに大きく貢献していることだろう。そのほかにも、売場では販売点数が多いアイテムを作業場からの動線に近いスペース、あるいはマグネットとなる場所に配置するといった工夫も見られた。詳しくは各部門の調査で解説しているが、こうした生産性を追求する数々の取り組みが圧倒的な安売りの源泉となっているのは間違いない。

 もう少し踏み込んでいくと、ロピアの価格政策が単なる安売りではないことも見えてくる。注目したいのは、ロピアの「1品単価」の高さだ。

 前述のとおり、ロピアの品揃えは大容量が多く、1品単価アップに大きく寄与している。また、たとえば鮮魚売場の人気商品である握り寿司は1パック9貫入りで999円という価格設定となっている。大ぶりにカットされたネタが特徴の値ごろが感じられる同商品だが、決して安いというわけではなく、付加価値商品の位置づけとみていい。そのほかにも、日配売場ではバンドル販売を積極展開。集客部門の青果でも、価格訴求品のラインアップの中に単価1000円を超えるような商品を差し込んでいる。

 これらはいずれも1品単価を上げる意図があるとみられ、ロピアの売場では同様の工夫が随所に見られる。実際に、本特集で実施した消費者調査でも、ほかのチェーンと比べてロピアの平均1点単価が高いというデータが得られている。この1品単価の高さこそ、驚異的な売上成長の原動力であり、儲けの源泉にもなっているとみられる。

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記事執筆者

小野 貴之 / ダイヤモンド・チェーンストアオンライン 副編集長

静岡県榛原郡吉田町出身。インターネット広告の営業、建設・土木系の業界紙記者などを経て、2016年1月にダイヤモンド・リテイルメディア(旧ダイヤモンド・フリードマン社)入社。「ダイヤモンド・チェーンストア」編集部に所属し、小売企業全般を取材。とくに興味がある分野は、EC、ネットスーパー、M&A、決算分析、ペイメント、SDGsなど。趣味は飲酒とSF小説、カメラ

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