いまAmazonが百貨店をつくる意味 リアル店舗の役割の変化と壮大な実験とは?

河合 拓 (株式会社FRI & Company ltd..代表)
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Amazonが百貨店をつくる意味

多くの日本人は、表層的な分析記事を読んで、「百貨店に未来はない」と思い込んでいるようだが、米国でAmazonが「リアル店舗百貨店」の設立計画をしているという、ウォール・ストリート・ジャーナルのニュースをどう判じるだろうか同紙では、Amazonはやがて大手アパレルを取り込み、プライベートブランドを開発すると報じている。

Amazonは、どのように合理的に考えても、その先にはSHEIN(シーイン)に近いビジネスモデルを考えているはずだ

 私は、再三「百貨店は数が多いだけで、その価値は失われていない」、「百貨店はモノを運ぶ場でなく人が集う場だ」と述べてきた。さらに、日本では百貨店は海外と異なり「百貨店は日本人のハレの日の文化」に深く根ざし、単なる物販の場ではないとも述べてきた。本来戦略とは、こうした「そもそも論」から構築すべきなのだが、どうしても日本人は「答え」を「アメリカ様」に求める癖が抜けていないように思う。

アマゾンの米国でのホールフーズ買収、無人コンビニAmazon Goの多店舗化など地上戦の狙いは「行動心理の把握」であるとウォール・ストリート・ジャーナルは報じているが、私はそうは思わない。既に制空権(EC市場)を掌握した同社が、空中戦での戦い(EC)と地上戦での戦い(リアル店舗での戦い)を別物と見立て、さらなる売上拡大をめざすため、世界征服達成のための壮大な実験が繰り返されていると見ている。

 それはどういうことだろうか? 

 

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記事執筆者

河合 拓 / 株式会社FRI & Company ltd.. 代表

株式会社FRI & Company ltd..代表 Arthur D Little Japan, Kurt Salmon US inc, Accenture stratgy, 日本IBMのパートナー等、世界企業のマネジメントを歴任。大手通販 (株)スクロール(東証一部上場)の社外取締役 (2016年5月まで)。The longreachgroup(投資ファンド)のマネジメントアドバイザを経て、最近はスタートアップ企業のIPO支援、DX戦略などアパレル産業以外に業務は拡大。会社のヴィジョンは小さな総合病院

著作:アパレル三部作「ブランドで競争する技術」「生き残るアパレル死ぬアパレル」「知らなきゃいけないアパレルの話」。メディア出演:「クローズアップ現代」「ABEMA TV」「海外向け衛星放送Bizbuzz Japan」「テレビ広島」「NHKニュース」。経済産業省有識者会議に出席し産業政策を提言。デジタルSPA、Tokyo city showroom 戦略など斬新な戦略コンセプトを産業界へ提言

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