H2Oと関西スーパーが経営統合を選んだ理由とは?巨大リージョナルSM連合誕生の背景
「関西マーケットを制圧するには食品事業が重要」
──今回、経営統合により中間持ち株会社の下にぶら下がる形態となるが、これは他の企業グループでも見られる。ほとんど利益を出していないグループがある一方、パン・パシフィック・インターナショナルホールディングス(旧ドンキHD)のように独自の手法で業績を高めるケースもある。あらためて、この「ぶら下がり型」で業績を伸ばせるかについて、考えを教えてほしい。
関西スーパー福谷社長 当社は経営統合により、H2Oのブランド力はじめ多くのメリットを享受でき、結果として当社の株主に対し、今まで以上の利益水準を確保できると考えている。企業規模は4000億円超となり、マスメリットが生まれるのは大きい。阪急オアシス、イズミヤ、当社の3社が共同で事業プラットフォームをつくり、コスト低減、また将来に向けての投資も可能になる。さらにシナジー効果も期待でき、こう考えると持ち株会社のもと事業展開するメリットはある。全体の利益水準が改善、工場する可能性は十分にあると考えている。
──そもそもH2Oブランドは、SM事業に生かせることができるものか。
H2O荒木社長 関西に住んでいる方ならわかると思うが、H2Oはお客さまに認知されているブランドではなく、どちらかといえばコーポレートブランド。お客さまにとっては阪急、阪神というブランドイメージが強い。
阪急オアシスは、「高質食品専門館」をコンセプトに阪急沿線を中心に店舗を展開。阪急ブランドとの“直接的”な相乗効果がある。一方、イズミヤと関西スーパーはそれぞれの屋号、エリアで特色を出しているが、当社グループのポイントプラグラム「Sポイント」を導入するほか、今後、共同でプライベートブランドを開発するなど、“間接的”な効果があると考えている。
──H2Oは、SMを百貨店事業に次ぐ、第2の柱にしようとしている。他の百貨店グループを見ても、SMに力を入れているケースは珍しい。御社が食品事業に力を入れる理由は何か。
H2O荒木社長 百貨店の同業他社を見ると不動産事業を次の柱にするグループが多い。だが同じ百貨店といっても生い立ちが異なる。同業他社のグループは、都心部に不動産を多く保有している。だが当社は電鉄系の百貨店であり、電鉄から不動産を賃借してターミナル型店舗を展開している。そのため当社グループは、不動産、もしくは金融事業よりも小売業として生き残ろうと考えた。
そもそも百貨店は、業態の特性上、お客さまの来店頻度が低い。今後、関西エリアのマーケットを制圧するためには、購買頻度の高い食料品を軸にした業態により、お客さまとの接触頻度を上げていく必要がある。そのため食品事業に力を入れている。