「EC、ライブコマース、超低価格」スタートアップ3種の神器で、アパレル産業主役交代の衝撃

河合 拓 (株式会社FRI & Company ltd..代表)
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ハイセンスの理由と巧みなSNSマーケティング

bunditinay/istock
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次に解説するのが、3超絶ハイ・センスな「ささげ写真」、4.インスタライブやYouTubeなどSNSをたくみに使ったPR、である。これは、URLをクリックしてみれば直ぐに分かるが、映し出される写真のハイセンス(世界観が素晴らしい)は旧態化した企業のそれと比べれば、その差は一目瞭然で、前回述べた「しわくちゃの中古品をしわくちゃのまま掲載している」企業など太刀打ちできないだろう。

 さらにPRについていえば、YouTubeやインスタライブで繰り広げられるパフォーマンスは、思わず見入ってしまうほど面白い。おそらく、ユニクロも同じ分析をしているのだろう。最近になって、同社のHPでは、インフルエンサーらしき人を使い、ユニクロのHPにインスタライブをウエブページで繰り広げていることにお気づきだろうか。

過去、ファッション商品は、ファッション雑誌とともに成長していった。しかし、今は、雑誌はゴミの山をつくり邪魔でしかなく、情報はインスタを見れば無料で手に入る時代だ。消費者はウエブからファッション情報を得る時代になった。インスタからおしゃれな着こなしをしている女子の服をクリックすれば、企業の販売サイトに飛んで行く。今消費者は、こういう買い方をしているわけだ。 

最後に「5.価格」である。彼らスタートアップ企業は、こうした流通コストの低さを武器に、1000円〜3000円という、私が「世界の常識」と幾度も述べている価格設定を実現している。ここは、説明の必要は不要だろう。

自分が消費者の立場に立てば、どちらを選ぶか自明だ。既存企業の「改善」でどうにかなる話では無い。

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記事執筆者

河合 拓 / 株式会社FRI & Company ltd.. 代表

株式会社FRI & Company ltd..代表 Arthur D Little Japan, Kurt Salmon US inc, Accenture stratgy, 日本IBMのパートナー等、世界企業のマネジメントを歴任。大手通販 (株)スクロール(東証一部上場)の社外取締役 (2016年5月まで)。The longreachgroup(投資ファンド)のマネジメントアドバイザを経て、最近はスタートアップ企業のIPO支援、DX戦略などアパレル産業以外に業務は拡大。会社のヴィジョンは小さな総合病院

著作:アパレル三部作「ブランドで競争する技術」「生き残るアパレル死ぬアパレル」「知らなきゃいけないアパレルの話」。メディア出演:「クローズアップ現代」「ABEMA TV」「海外向け衛星放送Bizbuzz Japan」「テレビ広島」「NHKニュース」。経済産業省有識者会議に出席し産業政策を提言。デジタルSPA、Tokyo city showroom 戦略など斬新な戦略コンセプトを産業界へ提言

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