間違いだらけのサステナブル経営 アパレル業界は「成長を望まない社会」の生活提案をすべきだ
循環型経済で、人の暮らしと衣服はどう変わるか?
サステナブルは、マーケティング的な観点から語るのでなく、経済活動の行き着く終着点と捉えるべきだ。今まで人類が経験したことがない社会へ突入してきたということなのである。
循環型経済のなかで人の生活は大きく変わる。ビフォーコロナの世界が、1対9が自宅と職場だとすれば、3対3対3ぐらいで、自宅、職場、社会活動のようなバランスになるだろう。そうなると、当然、スーツは売れなくなり、健康維持のためのスポーツ、自宅、仕事着がシームレスになる。だから今、スーツにスニーカーを履き、ネクタイなど締めずニットやモックネックにジャケットというスタイルが流行る。
ついでにいえば、ジャケットとカーデガンの境目はなくなり、今売れているものはジャージ素材のジャケットやポリエステル混(弱いストレッチでしわがつかない)ばかりだ。そこには、クラシコと呼ばれるテーラードはない。
また、ユニクロが売れるのは、ベーシックで着回しがよく、自宅でも職場でも、着こなしによって着回せること、加えて、何年も持つ強さがあるからだ。おしゃれを楽しみたい人は、できるだけ安い価格で寿命の短いファッションを楽しむのは必然なのだ。だから、百貨店のようなチャネルで高価格商品を“ファッションで売る”などのビジネスに全く未来はない。ならば、ルイ・ヴィトンのように、高くとも何年でも使え、その気になればブランド買取センターにもってゆけば高値で売れるものしか高額商品は消費者は買わないだろう。
このように、オン(仕事)、オフ(自宅)、オフ(外出)がシームレスになった。私も組織から出て行き、5社と契約し生計を立てており、一つの組織に属さない自由の元、ワークライフバランスを保っている。私は、基本的に仕事はほとんど自宅でやっているし、移動はすべてクルマだ。ミーティングは可能な限りZoomやTEAMSをつかっていて、本当に大事なときしかフェイス・トゥ・フェイスの話し合いはしない。こうした仕事の仕方をする人は実際増えているし、今後も増え、定着するだろう。
早くも3刷決定!河合拓氏の新刊
「生き残るアパレル 死ぬアパレル」好評発売中!
アパレル、小売、企業再建に携わる人の新しい教科書!購入は下記リンクから。
河合拓のアパレル改造論2021 の新着記事
-
2022/01/04
Z世代の衝撃#4 Z世代を追えば敗北必至!取るべきトーキョー・ショールーム・シティ戦略とは -
2021/12/28
Z世代の衝撃#3 既存アパレルが古着を売っても失敗する明確な理由とは -
2021/12/22
インフルエンサー・プラットフォーマー「Tokyo girls market」驚異の戦略とは -
2021/12/21
プラットフォーマー起因の歪な過剰生産が生み出す巨大ビジネス、SheinとShoichi -
2021/12/14
Z世代の衝撃#1 ライブコマースで「インフルエンサー・マーケティング」が失敗する衝撃的理由 -
2021/12/07
TOKYO BASEがZ世代から支持される理由と東京がショールーム都市になる衝撃
この連載の一覧はこちら [56記事]
関連記事ランキング
- 2024-12-10ワールドが三菱商事ファッション買収!進むアパレル垂直統合、2つの課題とは
- 2024-11-26イタリア繊維産業に学ぶ、高くても売れるビジネスの秘密とは 染めと売り方が段違い
- 2024-12-03ユニクロ柳井会長がウイグル綿花不使用発言に至った理由と影響、その複雑な背景とは
- 2021-11-23ついに最終章!ユニクロのプレミアムブランド「+J」とは結局何だったのか?
- 2024-09-17ゴールドウイン、脱ザ・ノース・フェイス依存めざす理由と新戦略の評価
- 2023-08-08EC時代にスクロールとベルーナだけ好調 生き残るカタログ通販、死ぬカタログ通販
- 2024-11-19ユニクロ、開始から7年で明らかになった有明プロジェクトのいまとすごい成果
- 2024-12-17あなたはいくつ備える?AI時代に生き残るビジネスパーソン3つの条件とは
- 2024-09-03アローズにビームス…セレクトショップの未来とめざすべき新ビジネスとは
- 2023-09-26無印良品の一部となる三菱商事ファッションとユニクロ:Cの成功が意味することとは
関連キーワードの記事を探す
あなたはいくつ備える?AI時代に生き残るビジネスパーソン3つの条件とは
VTuberビジネスに学ぶ、小売業を高収益化する「レバレッジ」の掛け方
ワールドが三菱商事ファッション買収!進むアパレル垂直統合、2つの課題とは
あなたはいくつ備える?AI時代に生き残るビジネスパーソン3つの条件とは
ワールドが三菱商事ファッション買収!進むアパレル垂直統合、2つの課題とは
イタリア繊維産業に学ぶ、高くても売れるビジネスの秘密とは 染めと売り方が段違い