#17 目指すは業界統一? 八ヶ岳連峰経営でついに関東進出を果たしたアークス・横山社長
「持ち株会社方式」の先駆者、横山氏
百貨店の三越伊勢丹ホールディングスなどのように、持ち株会社の傘の下に複数の同業会社がぶら下がる形態は、今でこそ当たり前に採用されていますが、その先駆者であるアークスが発足した当時、懐疑的な見方をする人は少なくありませんでした。
故渥美俊一氏もその一人。横山氏は渥美氏本人から「持ち株会社方式ではうまくいかない」と言われたそうです。「11店舗以上の標準化された店舗を本部が一元的に運営するシステム」であるチェーンストア経営の有用性を説いてきた渥美氏にすれば、同じ食品スーパー業態をラルズ、福原という二つの「本部」で運営するアークスは「邪道」に映ったのかもしれません。
しかし、その後、北海道と北東北の有力企業が次々とグループ入り(年表参照)し、2020年2月期の連結売上高は5192億円。食品スーパー専業企業としては、ライフコーポレーション(20年2月期7146億円)、ユナイテッド・スーパーマーケット・ホールディングス(同6916億円)、マックスバリュ西日本(同5429億円)に次ぐ全国4番手に位置しています。同期の営業利益は121億円と収益力も高く、売上高営業利益率はこの4社の中でアークスがトップです。
ライフの筆頭株主は三菱商事、ユナイテッドSMHDとMV西日本の親会社はイオンですが、アークスがそうした大資本を背景に持たない点も考え合わせると、八ヶ岳連峰経営は非常にうまくいっていると評価できます。アークスの成功が、小売業界で持ち株会社の活用が広がる契機となったのは間違いありません。
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