50年以上前に1000坪の食品工場設立 ヨークベニマル、ライフフーズの先進性と強さの原点

文=樽谷哲也(ノンフィクションライター)
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ヨークベニマル大

顧客だけでなく、業界関係者からも高く評価されるヨークベニマルの総菜部門。その商品開発から原材料調達、製造、供給までを一手に担うのが100%子会社のライフフーズ(福島県/松崎久美社長)である。メディアではあまり語られることのなかったライフフーズの歩みを振り返り、ヨークベニマル総菜部門の強さの原点、秘密を探ることを試みたい。

高鮮度、低価格の生鮮三品

ヨークベニマルの青果売場で販売しているレタス
青果売場で販売しているレタス(筆者撮影)。農家の指定から、種、土壌、肥料、栽培方法に至るまでのすべてをヨークベニマルが管理している

 ヨークベニマルは、創業から70年を超えてなお、国盗り物語さながらに勢力拡大を急ぐ覇権経営とは真逆を行くように、ひたすら地元に密着しようとしている。日々の暮らしに欠かせぬ食品をなにより優先して、来店客に鮮度と品質、そして価格でどこにも負けることなく安定供給する商いを社是として取り組んできた。

 ことし夏の猛暑の盛り、郡山市のヨークベニマル本社を取材に訪れると、80歳の大髙善興会長に、旗艦店のひとつと位置づける「ヨークベニマル横塚店」の約1000坪ある売場の隅々まで案内される機会を得た。

 青々としたピーマンにつづき、山なりに整然と積まれたレタスが目に飛び込んできた。ひとつとして根元の切り口が少しも黒ずんでいない。葉野菜、とくにレタスは収穫した瞬間から切り口が傷みやすい。計画的な栽培、収穫と集荷、運送、陳列、売場の管理まで、いかに徹底された仕組みが築かれているかを容易に想像させる。《岩手県産・三ツ星野菜のレタス》と謳う。

 2000年、60歳のときから、15年にわたって第4代社長を務めた大髙氏は、売場でこのように話した。

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