レシートは語る第15回 まもなく関西進出のオーケー、データでわかる競争力と成功のカギ

山室 直経 (mitorizDMB本部 本部長)
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図表1

 関西5チェーンの総計と比較すると(図表1)、オーケーは「安いから(総計比+55.9pt) 」「EDLP(エブリデーロープライス)・いつも安いから(総計比+18.8pt)」がとくにスコアが高く、同じく「安さ」で支持を受ける業務スーパーや、ロピアと比較しても圧倒的だ。

 オーケークラブに入会し、現金支払いをすると食料品が3%相当額割引になることから「とにかく安く同じ商品でも他店とかなり価格が違う」「他社と比較にならないくらい安いものが多い」との声が聞かれた。

 そのほか、「品揃えがよい(総計比+5.4pt)」「出来立て商品(焼きたてパンやピザなどがあるから(総計比+7.2pt)」も高く、「品揃えが豊富で安い」「店内調理の弁当やパン、ピザはどこよりも安くて美味しい」などのコメントがあげられ、イオン(千葉県/吉田昭夫社長)、ライフコーポレーション(大阪府/岩崎高治社長)のような商品開発を積極的に行う企業と比べても支持されていることがわかる。

「お得感」が関西進出成功のカギ

 一方で、オーケーは関西5チェーンの支持理由に比べ、立地のほかに「ポイントやお得なサービスがあるから」「セール・特売商品があるから」が10pt以上下回っている。

 オーケーのメーンユーザーの声を深堀りすると、「現金支払いでないと会員価格にならない」「ポイント制度を導入して欲しい」などが挙げられ、効率化を図り、コストカットを追求したことで実現されているEDLP戦略が強みとはいえ、お得感があまり感じられないことが課題のようだ。 

 エリア別に利用理由を比較した結果では、関西は関東に比べて「セール・特売商品があるから」を重視する傾向が見られた。近畿圏を中心に展開する万代も「安さ」や「セール・特売商品があるから」を理由に利用されている傾向が強い。「お得感」を重視する関西エリアの消費者からいかに支持を獲得できるかが、関西進出成功のポイントといえるのではないだろうか。

 

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記事執筆者

山室 直経 / mitoriz DMB本部 本部長

山室直経(やまむろ・なおつね)

神奈川大学経営工学科卒業。パソコンメーカーを経て、米リサーチ会社にてコンサルティング業務を学ぶ。その後、大手家電量販店子会社のパソコンメーカーで経営企画室に従事。計数管理とERP導入による業務改善などのプロジェクトを経験した後、2012年3月ソフトブレーン・フィールド入社、消費者購買データ事業の新規立ち上げを行う。

現在はデータを軸とした事業開発と当社の基幹システムのDX戦略を担う

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