レシートは語る第15回 まもなく関西進出のオーケー、データでわかる競争力と成功のカギ

山室 直経 (mitorizDMB本部 本部長)
Pocket

 mitoriz(東京都/木名瀬博社長)は、全国に約40万人の協力モニターを擁し、日本初のレシートによる購買証明付き・購買理由データベース「マルチプルID-POS購買理由データPoint of Buy(ポイント・オブ・バイ:以下、POBデータ)」を有している。月間1000万枚のレシートを収集し、提携サイト含め、リアル消費者購買データベースとしては国内最大級の規模となる。このPOBデータと協力モニター(以下、POB会員)へのアンケート調査を活用すれば、消費者から見た小売りチェーンの実態を明らかにすることができる。

 本連載では毎回、業界で関心の高いテーマを設定して独自調査を実施し、その結果をレポートする。連載第15回は、関東を中心に店舗を展開するオーケー(神奈川県/二宮涼太郎社長)に注目する。 「高品質・Everyday Low Price」の経営方針のもと、消費者から「安さ」で高い支持を獲得している同社は、202411月に関西エリアに初出店することを発表した。オーケーの関西市場参入に当たり、成功のヒントや課題は何か。関西主要チェーンの利用動向との比較により明らかにしたい。

オーケー高井田店
(オーケー ニュースリリースより)

関西エリアでも高い認知度を確保

 まずは「関東(一都三県)」「関西(大阪府)」在住のPOB会員を対象に、オーケーの認知度を調査した。(調査期間:2024年8月1日~8月16日、N=関東在住2001人、関西在住2241人)。

 調査の結果、関東では9割以上がオーケーを「知っている」と回答し、まだ出店前となる関西エリアでも認知度は55.1%と半数を超えていた。関西エリアの会員からは「安くて人気があるスーパーという印象」「テレビで何度か見たことがある」「銀座に店舗を作ったというニュースで驚いた記憶がある」といった声があがった。

 また、2411月にオーケーが関西1号店「高井田店」(大阪府東大阪市)を出店することについては、関東での認知度は13.8%だったことに対し、関西は21.6%。「よい評判を聞いているので利用してみたい」「関東のお得な店だとは知っているので少し遠いが利用したい」とあるように、出店前にもかかわらず、すでに関西での関心の高さがうかがえる。

 次に、関東(一都三県)でオーケーをメーン利用するユーザーの利用理由と、関西(大阪府)で利用者の多い主要4チェーンに加え、同じく関東を基盤にしながら出店地域を広げるロピア(神奈川県/髙木勇輔代表)の利用ユーザーの支持理由と比較する。

 なお、オーケー利用ユーザーは関東在住であり、関西5チェーンと商環境が異なる点と、調査対象エリアのロピアは9店舗のため回答者が限定的であることを踏まえ、特徴を見ていきたい。

1 2 3 4

記事執筆者

山室 直経 / mitoriz DMB本部 本部長

山室直経(やまむろ・なおつね)

神奈川大学経営工学科卒業。パソコンメーカーを経て、米リサーチ会社にてコンサルティング業務を学ぶ。その後、大手家電量販店子会社のパソコンメーカーで経営企画室に従事。計数管理とERP導入による業務改善などのプロジェクトを経験した後、2012年3月ソフトブレーン・フィールド入社、消費者購買データ事業の新規立ち上げを行う。

現在はデータを軸とした事業開発と当社の基幹システムのDX戦略を担う

関連記事ランキング

関連キーワードの記事を探す

© 2024 by Diamond Retail Media

興味のあるジャンルや業態を選択いただければ
DCSオンライントップページにおすすめの記事が表示されます。

ジャンル
業態