コロナ収束後も増収増益見込みの生協 今後の成長を阻む壁と直近の施策

宮崎 元(コープソリューション新聞編集長)
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メディア活用により
生協宅配のイメージ改革へ

 では、こうした課題について生協は今、どのように対策を進めているのか。

 まず、若年層の加入促進については、日本生協連では2030年ビジョンの第2期中期方針(23~25年度)で「足場の強化と飛躍への一歩」を掲げ、最重要課題として「若年層の生協への加入・参加」への対策を進めている。

 日本生協連が21年度に行った全国生協組合員意識調査で組合員の平均年齢は59歳。50歳以上の割合は6割を占めた。24年度の調査では平均年齢60歳超えも予想される。現在、生協は高齢者に支持される組織として社会的にも存在意義を発揮しているが、少子化・人口減少が進むなかで若い世代の加入が進まないことは事業継続の危機につながる。

 藤井専務理事は「全国共通の課題は、若年層に生協宅配の利用が進んでいないこと。これにどうアプローチしていくか、全国的にチャレンジしている」と述べた。そして、全国の地域生協のデジタル・トランスフォーメーション(DX)を推進する「DX-CO・OPプロジェクト」と連動した若年層加入推進について直近の施策を報告した。

 一人や二人で暮らす少人数世帯の若年層向け施策では、メディアを通じたイメージ改革を進めている。たとえば、人気の女優やタレントを起用して、女性向けメディアとのタイアップ企画を実施し、生協宅配のPR記事を掲載したほか、動画クリエーターとのコラボレーション企画も行った。生協はこれまで、若年層では主に子育て世代へのアプローチを進めてきたが、今後はそれ以外の20代、30代にも生協への理解・共感を広げていく考えだ。

期待の施策「TRY CO・OP」
全国32生協まで導入拡大

「TRY CO・OP」の提案も進めている。 売れ筋の冷凍食品の3品のセットがワンコイン(税込500円)で試せるという企画
売れ筋の冷凍食品の3品のセットがワンコイン(税込500円)で試せる「TRY CO・OP」

このように若年層との接点強化を進めるとともに、「DX-CO・OPプロジェクト」のもと、生協に未加入の人が宅配商品を気軽に試せるサービス「TRY CO・OP」の提案も進めている。
売れ筋の冷凍食品の3品のセットがワンコイン(税込500円)で試せるという企画で、若い女性やDINKsをターゲットに、お得なセットの購入で接点をつくり、申込者を生協加入につなげていく。

 背景には、これまで組合員拡大の方法として戸別訪問を進めてきたが、今の若い世代にはここうした手法は合わず、さらにインターネットでの加入促進も思うように実績が上がらなかったことがある。

 そこで23年から若年層とタッチポイントをつくる新たな施策として「TRY CO・OP」の実験を開始した。24年1月現在で32生協が実験を実施。利用者数の目標など具体的な数値は非公表だが、利用者数は計画の250%で推移しているという。「急激な加入の伸びは期待できないが、成功、失敗事例を共有し、各地域生協ともに模索しながら若年層へのアプローチを図っていく」(藤井専務理事)。

 今後、日本生協連では全国の生協と「若年層推進部会」を立ち上げる計画で、若年層と生協のつながりをさらに深めていきたく考えだ。

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