本多利範が語る「コンビニに求められる、さらなる変化対応」とは

2024/04/04 05:59
本多利範
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一部の利用客層が変化

 「セブン-イレブン」のPBは加工食品のほか菓子、また日用品、雑貨といった分野でも増えている。これにより朝昼晩、いつ行っても日常生活に必要な各種商品が揃う店舗に変わってきた。

 雑貨ではタオルもある。百貨店で買えば4000円はするが、コンビニなら1000円。食品、日用品、雑貨を含め、多くの大手メーカーと手を組み、商品開発に活かした成果だ。

 「セブン-イレブン」では、価格差を埋めるためPB開発だけでなく、従来は扱っていなかったアイテムを取り入れているのは興味深い。一例は100円ショップ「ダイソー」の商品だ。これは非常によい効果を与えている。

 販売動向を分析すると、100円商品のおもな購買層は40〜60代の女性。これは「セブン-イレブン」が取り込もうと努力してきた、主婦層とピタリ一致する。さらに100円商品を買った人は、サラダをはじめとした総菜、そしてファストフードも併せて買っている姿も浮き彫りになっている。その結果、以前よりも来店回数や買い上げ点数、客単価も伸長している。

 これらニーズや環境の変化に対応する取り組みによって、コンビニは今も成長を続けているわけだ。

 圧倒的な支持を得るコンビニだが、気になる動きもある。それは小商圏化が進んだ結果、業態の垣根が崩れ、コンビニの客層が一部で変化する傾向があることだ。

 某専門紙にコンビニの利用状況についての調査結果が載っていた。それによれば、週2回以上利用する人は36.2%と、全体の3分の2以上を占めている。一方、月1回未満の人が22.4%と2割強にも上る。年齢層別の分析では、10〜20代の男性は「全く行かない」という回答も1割以上もあった。

 ネットで買物を済ませる動きも強まる中、顧客層も変わってきていると読み取れる。調理麺の品揃えを見ると、大半が500円以上。こうした価格政策も実際のニーズとズレが生じてきているのるのかもしれない。

 半世紀にわたり、独自の努力で伸び続けてきたコンビニだが、今後も成長をめざすためには、さらなる変化対応が求められている。

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商売の基本_書影本多 利範 著
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