本多利範氏が語る、ディスカウントストア開発の成否を分ける2つの要素

2024/03/04 05:59
本多利範
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独自の進化を遂げるDgS

 新たにディスカウントストア業態を構築するにあたっては、今、挙げた点を意識した上で、さらに成否を分ける要素が2つあると私は考える。

 1つ目は、小商圏だ。

 人々のライフスタイル、消費行動、心理といった要素は外すことはできない。現代人は忙しく、できるだけ近くの店で効率的に買物を済ませたいというニーズは高まっている。これまで1週間に7店の食品スーパーを買い回っていた人も、3店で済ませているという話も聞く。

 同時に高齢化も進行している。肉体が衰えると、遠くに買物へ出かけるのも億劫になるものだ。こうしたなか、小売業が定期的に来店してもらうには小商圏を前提にした品揃え、店づくりは必須条件になる。

 2つ目は、ディスカウントストア向けプライベートブランド(PB)商品の開発である。

 イオンには「トップバリュベストプライス」がある。しかしほかのディスカウントストアに目を向けると、ディスカウントストア向けのPBはほとんどない。前述の小商圏ビジネスのなかでは、ナショナルブランド(NB)だけの戦いでは集客することには限界がある。ましてインターネットで買物する生活者が多い時代にあっては「アマゾン」や「楽天市場」にとられてしまう。小売業が自社の特徴を打ち出し、差別化を図るためには、PBを持つことは重要だと思う。

 この2点を踏まえた店はないかを考えると、「業務スーパー」は面白く、競争力があると感じる。店はコンパクトで小商圏に対応しているし、独自開発商品に加えて珍しい輸入品もあり、いずれもPBに近い。

 日本ではドラッグストア(DgS)も独自の進化を遂げている。北陸には小規模な店で、生鮮を含む食品を積極的扱う企業も出て来ている。食品の売上高構成比は50%を大きく超えており、ディスカウント型スーパーマーケットという見方もできる。

 いずれにせよディスカウントストア業態がこれからどのように変化していくのか。私は日本型のユニークなフォーマットが登場することを期待している。

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