「落とし物」返還率が3倍に!気鋭ベンチャー開発の意外なソリューションと狙う巨大市場とは

2023/10/17 05:59
堀尾大悟
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コールセンターの生産性が45倍に向上!

旅客案内ディスプレイ
「JR九州や駅名 忘れ物」などで検索するとLINEが案内される

 落とし主にとっても鉄道会社にとってもお互いに不幸な「落とし物問題」に、救世主となりうるサービスが登場した。それが、AIを活用した落とし物クラウドサービス「find」だ。

 findでは、まず落とし主は電話でなくLINEを使って問い合わせる。自動応答のチャットで基本的なやり取りを行い、落とし物の情報や可能であればヒントとなる画像を送信する。もちろんLINEなので24時間対応だし、待たされることもない。

 一方、落とし物が届けられた施設側は、落とし物のテキスト情報だけでなく画像データも登録することができる。そして、落とし主からLINEで送られた素材とデータベースをAIで照合することで、迅速かつ正確なマッチングを可能にした。

 東京・神奈川で鉄道路線を運営する京王電鉄が2023年2月から4月にかけてfindを試験導入したところ、電話による忘れ物の問い合わせが、導入前に比べ3分の1減少した。それだけでなく、1件の問い合わせに対して10分前後を費やしていた検索・マッチングの作業が30秒~1分程度と、劇的に短縮された。

 「これまでオペレーターが1日に処理していた問い合わせ件数が30~40件だったところ、最大で200件ほどまで捌くことができた」(和田氏)。単純計算で、生産性が4~5倍上がったことになる。

 生産性だけでなく、問い合わせに対する落とし物の返還率も、画像認識AIを活用したマッチングシステムによって飛躍的に向上した。京王電鉄の実証実験では、findを利用した場合は従来に比べて約3倍にまで返還率が高まったという。

 実証実験によってコールセンターの生産性やマッチング精度に劇的な改善が見られたことを受け、京王電鉄は5月からfindを正式導入。落とし物の問い合わせページにLINEのQRコードを配し、チャットで問い合わせるように導線を設けている。

 京王電鉄に続いて、JR九州も今年9月からfindを導入。約1カ月が経過し、すでに電話での問い合わせが80%削減されているという。京王電鉄との実証実験で成果が出たことで、他にも検討する鉄道会社が増えているようだ。

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